核攻撃権限分散へ嘆願書

バイデン大統領独りに核攻撃命令の権限が集中するのは危険だと、権限を分散するよう民主党議員31人が連名で大統領に嘆願書を送った。

政治専門のニュースサイト「ポリティコ」が24日伝えたもので、それによると嘆願書を送ったのはジミー・パネッタ議員(フロリダ州)ら民主党の下院議員31人で「一人の人物にこの権限を付与することは重大な危険を招くことになりかねない」とする。

米国の大統領は最高司令官として、ただ独り核攻撃を許可する権限が与えられ、命令を発する暗号カードを常にポケットに入れていると言われる。

また大統領が外出する際は、核攻撃を指令する無線装置の入ったカバンを持った軍事顧問が付き添うことになっており、カバンがフットボールを納めるぐらいの大きさなことから「核のフットボール」と呼ばれている。

「どの大統領でも核攻撃を命令する前に顧問たちと協議するだろうが、それは義務化されてはいない。命令が下されれば、軍部は命令されれば従わなければならないのだ。米軍の核部隊は命令があれば数分で攻撃を開始できる」

民主党議員たちはこう危険を指摘した上で、核攻撃を命令する権限を分散するよう求めている。

「例えば、大統領継承順位にしたがって副大統領、下院議長の同意を必要とすること良いだろう。この二人が攻撃命令に反対したとしても、大統領には二人を罷免することはできないからだ」

嘆願書は最後に、バイデン大統領の過去の核問題との取り組みを評価し、指導性を発揮して核攻撃命令の仕組みを変更するよう求めている。

バイデン大統領
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このニュース、民主党寄りの大手マスコミにはほとんど黙殺された。実現性が低いということからかもしれないが、与党議員31人の嘆願は無視するにはいかないように思える。

バイデン大統領の精神状態を危惧?

一方、保守系の論客はこの嘆願書の行間を読もうと試みた。

「嘆願書を送った民主党議員たちは、ジョー・バイデンについて我々が知らないことを知っているのではないのか?」

保守派のコメンテーターのショーン・ハナティ氏は、24日放送のフォックス・ニュースの番組の中でこう言い、かねて認知症気味とも言われるバイデン大統領の精神状態が原因ではないかと疑わせた。

保守派の評論家のディック・モリス氏はもっと直裁に、こうツィッターを発信した。

「バイデンの思考停止に動揺した民主党員たちが、核カードの放棄を求めた」

嘆願書の真意は分からないが、現実には米大統領のギリギリの判断が求められるような事態が起きている。

シリア攻撃を巡っても政権内に不調和

米軍は25日、シリア北部のイラン系の民兵組織の拠点などへの空爆を行い中東での緊張を高めているが、カマラ・ハリス副大統領は事前に知らされておらず不満を表明しているという。

シリア攻撃に不満を表明していると伝えられるカマラ・ハリス氏

また、バイデン陣営の重鎮のバーニー・サンダース上院議員(バーモント州選出)は「政府は戦争権限を拡大解釈していて危険だ。これはもう止めなければならない」とツィートした。

核攻撃の判断に限らず、バイデン大統領の危機対応はこれからもいろいろと問題になりそうだ。

【執筆:ジャーナリスト 木村太郎】
【表紙デザイン:さいとうひさし】