発展途上国に20億回分のワクチン供給計画

新型コロナウイルスのワクチンを複数の国で共同購入し、発展途上国など各国に公平に分配するための国際的な枠組み「COVAX」。

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その第1便となるワクチンが2月24日、西アフリカ・ガーナに到着した。

届けられたのは、イギリスのオックスフォード大学とアストラゼネカが開発したワクチン60万回分で、今週中にはガーナの隣国・コートジボワールにも送られる予定となっている。

COVAXは、WHO(世界保健機関)などが主導していて、2021年のうちに少なくとも20億回分のワクチンを供給する計画だ。

先進国優先は「パンデミック遷延の恐れ」

三田友梨佳キャスター:
このニュースについて、内科医としてアメリカの大学病院で新型コロナウイルスと向き合っている山田悠史医師に聞きます。COVAXによるワクチンが初めて途上国に到着しましたが、どうご覧になりますか?

マウントサイナイ大学病院勤務・山田悠史医師:
非常に大きな第一歩ではないかと思います。当面ワクチン供給が限定されている間は、重症化リスクを持つ高齢者や持病を抱える方の供給分は確保して、それ以外は先進国から発展途上国に回すということが、より多くの命を守るという観点からは理想的だと思います

マウントサイナイ大学病院勤務・山田悠史医師:
しかし現実には、限られた先進国が経済活動の正常化のためにいち早く感染者を減らすことを目的にして、全人口をカバーするワクチンの確保に急いでいます。これは短期的には成功するかもしれませんが、長期的な視野に立てばパンデミックの遷延につながって、かえって悪いアウトカムをもたらす可能性があると考えています。パンデミックにおいては競合とか対立は状況を悪化させることにつながりかねず、COVAXのような協力こそが改善につながると考えています

三田友梨佳キャスター:
協力という点においては、アメリカ・バイデン政権はCOVAXに40億ドルを拠出するとしていますが、こうした動きについてはいかがでしょうか?

マウントサイナイ大学病院勤務・山田悠史医師:
非常に喜ばしいと思っていまして、資金力、ワクチンの開発力を含めて見てもアメリカの参加意義は非常に大きくて、パンデミック収束に向けた大きな前進のステップになるのではないかと思います。パンデミックでは病原体を世界中で共有しているという考えのもとに立つと、自国にだけ有効なワクチンが普及すれば良いというのでは、自国を含めて解決にはつながりません。やはり多くの国にはワクチン供給を受けるだけの十分な資金力がありませんので、こうした大国の支援は非常に重要になってくると思います

三田友梨佳キャスター:
ウイルスに国境はありませんから、世界全体で立ち向かう必要があると思いますが、COVAXの活動を含めて今後途上国でのワクチン接種を加速させていくためにはどんな課題がありますか?

マウントサイナイ大学病院勤務・山田悠史医師:
まだまだワクチンの供給も資金も共に足りない状況だと思いますので、米国を含めて各国の支援がますます必要になるのではないかと思います

三田友梨佳キャスター:
十分に提供できる環境になった時には、どのように分配して供給と接種を加速することができるか、ワクチンには運ぶ際の温度など様々な条件がありますから、ワクチンと共に必要な設備、ノウハウも現場に共有して世界的な収束へとつながることを期待したいと思います

(「Live News α」2月25日放送分)