新型コロナウイルスの水際対策として、入国者を厳重に管理する中国。前回は空港での検査の模様をリポートした。
(関連記事:中国の新型コロナ水際対策 厳重検査を実体験

今回はホテルでの厳しい隔離の実態を取り上げる。

隔離地はリゾートホテル

厳しい入国審査と検査を経て、空港からバスで揺られることおよそ2時間。山東省・青島にあるホテルに着いたのは午後4時頃だった。新型コロナウイルスに伴う隔離措置で、私が宿泊したのは海岸沿いにある「青島紅樹林度暇世界(マングローブツリーワールド)」だ。

ホテルの入り口。左が宿泊者、右が従業員用でロープで区切られている
ホテルの入り口。左が宿泊者、右が従業員用でロープで区切られている
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海沿いにあるリゾートホテルだが、ここでも待っていたのは入念な消毒と書類の書き込みだ。入り口は乗客用と従業員用が厳密に区別され、乗客は6人ずつのグループで手続きを行った。

靴の上から紙の靴カバーを履かされる
靴の上から紙の靴カバーを履かされる

建物に入る際には靴の上からさらに紙の靴カバーを履かされ、書類には最終目的地や緊急の連絡先など、空港到着時と同様に事細かな記入が求められた。

ホテルでも詳細な情報提供が求められた
ホテルでも詳細な情報提供が求められた

ここにも日本語が堪能な通訳がいて、不明な点などを遠慮なく尋ねることが出来る。その対応は空港に着いてからずっと丁寧だ。私が中国にいた9年前は、ほぼ中国語オンリーだったのに比べると、その変化には改めて驚かされる。

隔離中の要望などを伝えるためのアプリ「WeChat」を最後に登録して、ようやく客室に案内された。通常の営業はしていないため、エレベーター内が真っ暗だったのが印象的だ。おそらく乗客は到着した日ごとにグループでまとめられ、同じフロアに宿泊するシステムのようだ。

全身防護服姿の係官に先導されて部屋に入り、3週間の隔離生活が始まった。

生活の詳細はまた別途、お伝えする。

人気の全くない廊下を通って部屋に案内された
人気の全くない廊下を通って部屋に案内された

変わらぬ厳重な管理

感染対策については空港同様、ホテルでも厳重な体制は相変わらずだった。食事は朝昼晩とも弁当が部屋の前の台に置かれ、ノックやインターフォンで知らされる。宿泊者がそれぞれ自分で取りに行く方式だ。食事を運ぶ係官は全身防護服姿で、接触することも話をすることもない。

食事を配る際も係官は全身防護服
食事を配る際も係官は全身防護服

ゴミは部屋に備え付けの黒いビニールにいったん入れて、部屋の外にあるより大きな黄色いビニールの中に入れるよう指示された。係官がゴミ自体はもちろん、客が触ったゴミ袋にも触れないようにするためだ。

使用済みのタオルやシーツなども引き取ることはなく、全て部屋の中に置いたまま、新しいものだけを追加で持ってきてもらう。受け渡しは当然部屋の扉の前。つまり、外部の者は部屋の中にあるものに一切触れることはない。

ゴミはまず黒い袋に入れ、それを黄色い袋の中に入れる
ゴミはまず黒い袋に入れ、それを黄色い袋の中に入れる

日常の検査

体温を測る係官
体温を測る係官

検査は1日2回、午前と午後の体温測定が基本だ。全身防護服の係官が来て、額に体温計を当てるだけ。ほんの一瞬である。PCR検査は到着した週末と1週間を経過したところでこれまで2回実施され、2回目のPCR検査の際には血液も採取された。

採血後の止血は綿棒のみ
採血後の止血は綿棒のみ

隔離終了間際には肛門から検体を取るPCR検査も行われるという。
(関連記事:日本人も対象…中国で始まった「肛門PCR検査」のワケ

いずれも「濃厚」どころか接触自体が一切ないので、およそ感染のしようがないとも思うが、厳格な検査はとにかく徹底していた。PCR検査の結果が知らされないので聞いてみると、陽性反応がなければ連絡はしないという。

ちなみに係官も我々の隔離中は同じホテル住まいで、自分の部屋にいるとき以外は常に防護服を着ているそうだ。

例年と違う旧正月(春節)についても聞いてみたが、彼らは連休中も仕事だったため、どんな状況だったかは全くわからないという説明だった。

新型コロナ対策が日常に溶け込んでから、日本でもそれなりに注意をしてきたつもりではあったが、ここまでの徹底管理は日本では出来ないだろうと感じた。

【執筆:FNN北京支局長 山崎文博】

山崎文博
山崎文博

FNN北京支局長 1993年フジテレビジョン入社。95年から報道局社会部司法クラブ・運輸省クラブ、97年から政治部官邸クラブ・平河クラブを経て、2008年から北京支局。2013年帰国して政治部外務省クラブ、政治部デスクを担当。2021年1月より二度目の北京支局。入社から28年、記者一筋。小学3年時からラグビーを始め、今もラグビーをこよなく愛し、ラグビー談義になるとしばしば我を忘れることも。