自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。
「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。

今回、元気なココロちゃんとマナブくんきょうだいの育児に追われる小木(こぎ)さん一家が体験したのは…

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「子どもより先に『よかったね』の声かけ…実は嫌だった?」

4歳の娘さんがレストランでデザートをサービスしてもらい、「よかったね!」と言ったところ「ママが喜んだのがイヤだった」と言われてしまった、というお話。

子どもに何か良いことがあったときは、親も嬉しいもの。「やったね!」と声をかけたくなる気持ちはあるはずだし、子どもが何かしてもらったときは、感謝の気持ちも相手に伝えるために「嬉しいね!」と言いたくなるだろう。
実はそんな言葉に、子どもはモヤモヤしてしまうの?育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんにお話を聞いた。


――「ママが喜んだのがイヤ」…どんな理由があったの?

この女の子の心理は、もちろんこの子にしか分からないことなので、あくまで推測ですが、思い当たるのは「心理的リアクタンス」という反応です。

人間は、もともと自分の意思で自由に決定し、行動したいという欲求があるため、自分の自由度が奪われた感覚に陥ると、とっさに抵抗し、奪われかかった自由を取り戻そうという心理が働くことがあります。これを心理的リアクタンスといい、いわば、自己防衛の一種です。

たとえば、お店の人やセールスの人に、「これ、とってもおすすめですよ」とか、「本当に素晴らしい商品なんですよ」とグイグイ来られると、「いや、結構です!」「ちょっと考えます」という気になる、こんな経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか。

心理的リアクタンスとはそのようなもので、自分が答えを探している最中に、相手に先にあれこれ言われたり、決めつけられたりしてしまうことに抵抗感を感じることがあるのです。

お母さまはよかれと思って「よかったねー」と言ったのに、結果的にはお嬢さんに好意的に受け止めてもらえなかった……。人間の心理はとても複雑に入り組んでいるんだなということを改めて感じますね。


――では、「よかったね」「嬉しいね」などの声かけはしない方がいいの?

基本的には、これは「共感」に当たるので、好ましい対応です。思春期になると、親の声かけが照れくさい、恥ずかしいと感じることもありますが、それ以前の年齢のお子さんであれば、控える必要はまったくありません。むしろ、やってあげた方が望ましいと言えます。

ただ、今回の例のように、中には抵抗感を示すお子さんもいるので、もしあまり喜んでいないようであれば、このお母さまのようにお子さんと話をする時間を設けてあげると理想的です。お子さんの新しい一面の発見やより深い理解へとつながるでしょう。

何か嬉しいことがあったとき、それをどう言葉にするかはまたそれぞれの個性が関わってくるだろうが、「嬉しい!」という気持ちを表現する前に「よかったね!」という言葉がママから聞こえたことで、「どうして先に言っちゃうの?」という気持ちが生まれたのかもしれない、今回のケース。

もちろん、パパママの「共感」の声かけはNGというわけではなく、基本的にはプラスのもの。自分の嬉しい気持ちをパパママがわかってくれた!というまた別の嬉しい体験につながったり、恥ずかしがりやでうまく嬉しさを言葉にできない…という子どもたちにとっては背中を押してくれる一言になる場合もあるだろう。


――では、おやつを落とした・おもちゃが壊れた…そんな時に「残念だったね」「悲しいね」と声かけするのはOK?

これは状況によって使い分けをするのが望ましいでしょう。その状況とは、たとえば、おもちゃを壊してしまったのが、「思いがけず」なのか、「故意的に」なのか、のような場合です。もし、わざとおもちゃを壊したような場合に、「残念だったね」と共感してしまうと、再び同じようなことを起こすことになりかねません。

一方で、

・お子さんが頑張っているのにうまくいかなかったとき(例:野球クラブの試合で負けてしまった)
・思いがけず、残念なことが起こったとき(例:クッキーをかじったら、半分に割れて落ちてしまった)


このような場合は、「残念だったね」「悲しいね」とその気持ちに寄り添ってあげることはとても大切です。

これを心理学では「感情のラベリング」と言いますが、小さい子ほど、自分の気持ちを言葉で表現するのが苦手なので、その気持ちを親が代弁してあげるといいですね。「つらいね」「悲しいね」とお子さんの気持ちを言葉で伝えてあげることで、子ども自身も、「ママはわかってくれてる」と実感しやすく、それが落ち着きや安心感を取り戻すきっかけになることがよくあります。


「聞きコミ PRIME online」では皆様からの「育児あるある」エピソード投稿をお待ちしています。

・「もういらない」と言ったから代わりに食べたおやつ。「やっぱり食べる!」と言われて大慌て…同じものを用意しても「さっきのがいい!」と泣かれて大苦戦!
・無くしたと思っていたスマホを冷蔵庫の中から発見!なんでここに入れちゃうの!?

などなど、あなたの「育児あるある」に隠された子どもたちの気持ちを探ってみませんか?

※入力された内容は記事で紹介させて頂くことがございます。
※改めて取材をさせて頂く場合もございます。

(解説:佐藤めぐみ/公認心理師)
英・レスター大学大学院修士号取得・オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を日本の育児で取り入れやすい形にしたポジ育メソッドを考案。アメブロの「ちょっと子育て心理学」(http://ameblo.jp/la-camomille/)にて発信中。

(漫画:さいとうひさし)