巧みな包丁さばきを動画で・・・

コロナで厳しい状況が続く中でも、客が続々と来店するすし店がある。

すし店「銀座渡利」
すし店「銀座渡利」
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感染再拡大という逆風が吹く中、東京・渋谷にオープンしたすし店「銀座渡利」。きっかけは、すし職人がさばいたこだわりの調理動画だった。

1本のマグロから数百グラムしか取れないカマトロの刺し盛りや、冬の味覚の代表格クリーミーな味わいが特徴なトラフグの白子てんぷら

毎朝市場に出向き、その日ベストな魚介類を厳選。旬の味を提供する人気店だが、店主の渡邉哲也さん(33)には、もう1つの顔がある。

閉店後、総額40万円ほどする2台のカメラと照明機材を用意して始めたのは、YouTubeで配信する動画の撮影。

これまでに、すしの握り方をはじめ、マグロの筋の切り方など134本の動画を公開している。

動画を見たオーナーに声をかけられ

銀座で修行中の2020年3月に開設したチャンネルは、2月4日現在、登録者数およそ7万人、総再生回数は760万回以上と、渡邉さんはユーチューバーとしても活躍している。

銀座渡利・渡邉哲也店主:
周りの職人さんに言っても『何やっているんだ』みたいな。でも、逆にそれが面白いかなと思って…

自分の店を持つのはしばらく先だと思っていたが...

銀座渡利・渡邉哲也店主:
動画を通して不特定多数の方に僕という存在を知ってもらえたことが大きくて。もちろんこの店舗を間借りできたのも、ここのオーナーが僕のYouTubeチャンネルを見て声をかけてくださって…

動画を見たすし店のオーナーから声をかけられ、個室スペースを間借りする形で2020年10月に店をオープンすることができたという。

さらに、動画配信の強みは、感染拡大でいっそう難しくなった集客にも活かされている。

動画をきっかけに来店した女性:
丁寧に食材を扱う方なんだなと、そこから動画をずっと見ています。例えば「嵐」が好きな人だったら、嵐の○○くんがここですしを握ってますみたいなことですよ。『動画で見ていた方のが食べられるんだ』みたいな…

初めて来店する客のおよそ3割は、YouTubeのチャンネル登録者。

動画をきっかけに来店した男性:
動画だけで『この人、ほかの料理人と違うな』というのがあった。仕事の丁寧さとか。来てみたら、作り方など教えてくれますし…

動画を見ることで、料理に対して安心感親近感を持ってもらえるという。

銀座渡利・渡邉哲也店主:
パソコン1つ、スマホ1つあれば店を作れるぞと。僕としては良い波に乗れたかなと。『銀座渡利』というアカウントを作ったので、銀座ですし屋を開きたい。それがずっと夢というか目標です

巧みな動画さばきで客の心をつかんだ若きすし職人。前例にとらわれない発想が、夢を実現する原動力となりそうだ。

(「Live News α」2月4日放送分より)