巣ごもり需要で 初の1兆円超

ソニーが発表した2020年4月~12月期の連結決算は、純利益が前の年の同じ時期に比べて87.0%増えて、1兆647億円になった。過去最高を更新し、初めて1兆円を超えた。

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また、2021年3月期の業績予想を上方修正し、純利益は従来の8000億円から、過去最高の1兆850億円となる見通しを示した。

新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要で、11月に発売した「プレイステーション5」などのゲーム事業や音楽配信が好調のほか、劇場版「鬼滅の刃」の異例のヒットも影響した。

“今までにないビジネスをする” がソニーの本質

三田友梨佳キャスター:
ソニー時代にテレビ開発などに携わっていた、早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに聞きます。ソニーの好決算、どうご覧になりますか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
ソニーは、テレビやオーディオといった技術の会社というイメージが強いと思うんです。今までにない新しいビジネスや製品を世の中に出していく。これがソニーの本質で、技術というのはその手段の一つだったと思います。

現在はエレクトロニクス事業に加えて、エンターテインメントや金融などさまざまな事業を行っていますが、共通点は“今までにないビジネスをする”だと思うんですね。今回の決算でも、ゲームのPS5やアニメの鬼滅の刃といった新しいビジネスというのが、ソニーらしく成果を出した例なんだと思います。

三田友梨佳キャスター:
ソニーのエンタメ事業というと、まずは音楽が思い浮かぶという方も多いですよね。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
音楽とアニメはすごくシナジーがあって、相性がいいんです。アニプレックスというソニーのアニメ制作会社はソニーミュージックの傘下にありまして、アニメの主題歌をソニーが楽曲提供する。アニメのヒットによって、今CDの売り上げが落ち込んでいると言われている中で、アニメのファンはしっかりCDや楽曲配信を買ってくれるという相乗効果があり、非常に良い。

鬼滅の刃も、プレミアアニメやアニメ映画でも、主題歌をソニーのアーティストが歌っていて、そのアーティストはソニーのプロダクションに所属している形です。もともと音楽のビジネスは極めてソニーらしい事業で、旧来のレコード会社とそのプロダクションが芸能人を育てるという形から、レコード会社自らアーティストを育てるという形に変えたのもソニーなんです。

三田友梨佳キャスター:
プレステ5が大ヒットしたゲーム事業についてはいかがですか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
これも実は音楽とのシナジーがあった事業で、もともとプレイステーション最初のモデルが登場した時に、きれいな映像の技術というところが非常にフォーカスされましたが、その背後で、ソニーミュージックのCDのプレス工場でゲームソフトを短期間で量産して出荷するというようなサプライチェーンの改革によって、ソフトメーカーを味方に引きつけ、プレイステーションを一大ゲームプラットホームに結び付けていったことがありました。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
今後の課題としては、エンタメとか金融の好調で手にした収益を、祖業のエレクトロニクスでまた今までにない新しいことに投資をして、今後の方向性を示していく。それが課題になっていくんじゃないでしょうか。

三田友梨佳キャスター:
ものづくりを代表する企業として、ウォークマンが音楽を楽しむスタイルを変えたように、また新たなイノベーションに注目したいと思います。

(「Live News α」2月3日放送分)