推定シェアで11年ぶり首位奪還

ウィズコロナが続く2021年。キーパーソンは逆境で何を学び、何を決断したのか?

新型コロナウイルスの感染拡大により飲み会が激減…取り巻く環境が大きく変化したアルコール業界。そうした中で成長するカギは消費者の課題を解決する商品づくりにあった。

Live News αではキリンビールの布施孝之社長に、新型コロナウイルスからの学びと2021年の戦略について三田友梨佳キャスターが話を聞いた。

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2020年、推定シェアで11年ぶりに首位に返り咲いたキリンビール。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、アルコールに対する環境は大きく変化した。

三田友梨佳キャスター:
ウイルスとの闘いにおいて、アルコール摂取によって大声になって飛まつが飛ぶ、だから、お昼はもちろんですけれども、夜の会食も徹底的に自粛というふうな呼び掛けがあると、アルコールが少しだけ悪者のような印象もあるのですが、そこはどのように受け止めていらっしゃいますか?

キリンビール・布施孝之社長:
今おっしゃったように、感染拡大の温床になっているのが飲食店だと、今回はそういうふうに捉えられているような印象があって、昨年の4月、5月の緊急事態宣言とは街の空気も違うんですよね。飲食店に行かなければ感染は広がらない…そういう街の空気を感じています。非常に心苦しいというか、胸が痛いという気持ちでいます

営業活動の新たな気付き

難しい経営のかじ取りが求められた2020年。

布施社長は営業活動について、これまでの固定概念を覆す方針を打ち出した。

キリンビール・布施孝之社長:
特にビール業界というのは、飲食店さんの数が非常に多いです。そこにいかに足を運びお店とコミュニケーションをとる営業スタイルを長年繰り返してきました。ただ、新たな気づきというか、足を運ぶ営業は基本だが、いろいろなオンラインとかメールとか、それでも営業活動が成り立つんだという新たな気づきというのはありましたね

節約志向、こだわり消費、健康志向

国内で新たな生活様式が浸透する中、高まりを見せているのが「家飲み需要」。

キリンビール・布施孝之社長:
消費者のマインド意識の変化ですが、二極化しています。節約志向のニーズと、巣ごもりの中でこだわった消費をしたいニーズ。それと健康志向

三田友梨佳キャスター:
家飲み需要というのはこれからも続いていく、増加していくというふうに思うんですけれども、どのように今後は対応していきたいとお考えですか?

キリンビール・布施孝之社長:
絞りと集中」の戦略。ブランドで言えば『一番搾り』とか『本麒麟』。機能性で言えば昨年10月に出した、ビールで糖質ゼロの『一番搾り糖質ゼロ』。その絞りと集中したブランドが、今のコロナの環境変化に合致しているというふうにみています。これは全くぶらさずに引き続き投資をして、期待に応えていきたいです

消費者の課題を解決する商品作りに絞り、集中的に力を注いだ布施社長。

三田友梨佳キャスター:
2021年、これからもまだまだウイルスとの闘いは続くと思うんですけれども、布施社長はどんなビジョン、どんな戦略を今、思い描いていらっしゃるんでしょうか?

キリンビール・布施孝之社長:
お客さまにもっと喜んでいただくにはどうしたら良いか。世のため人のために、われわれの商品や事業を通じてできることは何なのか。それをとにかく徹底して突き詰めていきたい。社員にも繰り返し繰り返し、メッセージとしてそれを伝えています

三田キャスター:
布施社長は従業員の皆さんに対し、働いているみんなの健康、ご家族の健康が何よりも大事。そのために、さまざまな対策を講じるので、安心して働いてほしいとこの1年伝えてきたそうです。その策の1つが、全面オンライン営業などのITツールを駆使することでした。従業員を守りながら、的を絞った集中投資という戦略で、シェアトップに立ったキリンビール。ブランドを強化するヒントとなるかもしれません

(「Live News α」1月28日放送分)