ポイントは買い物やグリーン券に交換

3密を避けた新しい日常の徹底が求められる中、JR東日本がこの春、時差通勤を後押しする新たなポイントサービスを実施する。

その1つが、「オフピークポイントサービス」。

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平日の朝、通勤ラッシュの時間帯を避けて出勤すると、買い物やグリーン券に交換できる「JRE POINT」がたまるというもの。

対象となるのは、東京を中心とする首都圏の一部の地域。このエリア内の駅で乗り降りすることが条件となる。

さらに、ポイントが還元されるのは、対象となる時間帯に出発地の改札を通ること。

ピークの前後1時間・定期券利用者が対象

例えば、対象エリアにある大崎 - 東京駅間を通勤で利用している人の場合、大崎駅は午前7時半から午前9時までの1時間半がピーク時間帯にあたるため、この前後1時間が、ポイント還元の対象となる時間帯。

ピーク前の「早起き時間帯」は15ポイント、ピーク後の「ゆったり時間帯は」20ポイントが還元される。

期間は、3月15日から2022年3月末まで。Suica定期券の利用者が対象だ。

また、定期券利用がなくても、Suicaで同じ運賃区間の利用が月に10回ある場合、運賃1回分相当のポイントが還元されるサービスも3月からスタートする。

JR東日本は今後、このサービスの導入による“ピークシフト効果”を新たな定期券サービスの参考にする方針。

お得感がオフピーク利用のあと押しとなるのか。新しい日常への対応に模索が続く。

「同期型」から「非同期型」へ…時差通勤は会社側にもメリット

三田友梨佳キャスター:
コミュニティデザイナーでstudio-L代表の山崎亮さんに聞きます。今回のJR東日本の取り組みをどうご覧になっていますか?

コミュニティデザイナー・山崎亮氏:
とても興味深い取り組みだと思います。新型コロナウイルスの感染拡大で、テレワークを行う会社はある程度増えてきたと思います。今後は、どうしても出勤しなければならない人たち、この人たちが本当に同じ時間に同じ場所に出勤していく必要があるのかというのをちょっと考えていく必要があると思っています。

われわれの分野では、「同期型」「非同期型」という言葉をよく使うんです。同じ時間に顔を合わせて物事を進めていく。例えば電話での打ち合わせなどが「同期型」です。一方で、メールを出しておいてとか、オンデマンドの時間で、という好きな時に情報を入力したり出力したりすることを「非同期型」と呼んでいます。

最近では大学の講義なんかも、全員一緒にオンラインで受ける授業のほかに、オンデマンドで好きな時に学ぶこともできるようになっていますので、企業も工夫次第では「同期型」から「非同期型」に移行することができる、そんな部署もあるのではないかと思います。

三田友梨佳キャスター:
そうした働き方ができたら、確かに時差通勤もしやすくなるかもしれませんね。

コミュニティデザイナー・山崎亮氏:
今回は時差通勤をした個人にポイントが付与されるサービスですが、社員個人だとやろうと思っても会社が認めていませんということもありますので、会社全体で取り組むきっかけになるといいと思っています。

社員の方が時差通勤すること自体は、会社側にとっても結構メリットがあります。まず、混雑を避けることで社員の感染を防ぐことはもちろんありますけれども、例えば時差通勤で空いた時間を利用して、社員の方が副業や兼業をやっていくこともできるようになると思うんですね。

自分の会社の中だけの経験ではない経験が、本業の方にもうまく生かされるということは、データ上も良い意味がある、となってきていますので、例えば兼業・副業だけではなくて、街づくりの時間などに使いながら、うまく仕事時間をずらしていくことができたりすると、すごくいいことなのではないかと思っています。

今回のJRの取り組みというのは、まさに社会の潮流として、JRはここまでやってきた、考えてきたよ、あなたの会社はどうしますか? という問い掛けとして捉えた方がいいのではないかと思っています。これをきっかけに、企業が自分たちの働き方をさらに見直していくことになるといいなと思います。

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三田友梨佳キャスター:
出勤の際に、駅のホームで「時差通勤にご協力ください」というアナウンスをこの1年よく耳にしてきましたが、やはりお願いベースでは限界もあると思いますし、こうしたインセンティブが普及に向けての1つのきっかけになればと思います。

とは言っても、時差通勤を決めるのは会社の方針という方も多いと思います。企業とも歩調を合わせながら、時差通勤を推し進めていく必要があるように感じます。

(「Live News α」1月27日放送分)