自動車生産を減らす動きも

巣ごもり生活などの影響で世界的に半導体が不足する中、東芝が自動車向けの値上げを検討している。

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関係者によると東芝は、電圧を制御する「パワー半導体」などの1割から2割程度の値上げについて、複数の自動車メーカーと交渉に入ったという。

ルネサスエレクトロニクスも、車の走行を制御する「マイコン」などの値上げを要請している。

半導体の調達が難しくなる中、自動車業界では生産を減らすなど、影響が広がっている。

半導体は5G関連機器のほか、パソコンやゲーム機向け需要が急増していて、経済産業省は台湾当局に対し、半導体メーカーが日本向けの増産に応じるよう働きかけている。

政府を巻き込んで台湾と交渉を

三田友梨佳キャスター:
早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに聞きます。
世界的な半導体不足をどうご覧になりますか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
半導体は「産業の米」といわれる基幹部品なので、PCやスマホだけでなく、自動車や家電製品でも多く使われています。

今後自動車だけでなく、好調な白物家電にも、売る機会があるのに半導体のひっ迫で売れないという可能性が無いとは言えないと思います。

三田キャスター:
半導体需要に合わせて供給を増やす、生産の増加は可能でしょうか?

長内厚さん:
これはなかなか難しいと思います。

昨年の一時的なマスク不足と同じで、一時的な需要増に対して莫大なお金と時間をかけて生産設備を整えて生産を増やせるかというと企業としてリスクがありますし、装置メーカーや材料メーカーの協力も得ないといけないので難しいと思います。

三田キャスター:
半導体不足は日本のものづくりの危機でもありますが、どう対処すれば良いでしょうか?

長内厚さん:
半導体の生産はほぼアジアが中心です。

台湾が世界1位で、韓国、日本、中国と続いていますが、中国の半導体に関しては米中の対立の中で使いにくいということがあり、半導体不足に拍車をかけている一面があります。

そうなってくるとカギは台湾です。
世界で一番半導体を作っている地域でもあるので、日本の産業界だけでなく、政府を巻き込んで台湾に生産量を増やしていくようお願いする。
ただお願いベースだけでもダメですし、台湾と日本両方にメリットがある環境を作っていかないといけない。

例えば、日本と台湾は今良好な関係ですが、経済の面では台湾新幹線でなかなか交渉がまとまらない。そういったところをセットでバーターとなるような交渉をして、日本と台湾の間で日本がしっかりと半導体を確保していくような知恵を使っていくことも大切だと思います。

三田キャスター:
打開策を見出すためには企業努力だけではなくて、政府による経済交流の促進も求められるということです。

改めて感染拡大の影響は生活だけでなくて、様々な産業に大きな変化をもたらしていることを実感します。

(「Live News α」1月25日放送分)