ここまで長引くとは想像しなかった・・・

ウィズコロナが続く2021年。キーパーソンは逆境で何を学び、何を決断したのか?

1月21日は「オフィスは退去しても雇用は守る」と決断した、観光スタートアップ企業「WAmazing」の覚悟に迫った。

この記事の画像(10枚)

訪日外国人観光客が99%減少し、市場そのものが消滅したインバウンド産業。

その逆風の最前線に立っていた観光スタートアップ企業の代表が振り返る、新型コロナウイルスからの学び、そして、2021年の戦略とは?

訪日外国人観光客への無料SIMや、専用アプリで観光情報やホテルの予約などを可能にする観光プラットホームサービスを展開し、順調に成長してきた「WAmazing」。

三田友梨佳キャスター:
この1年間、新型コロナウイルスの影響でさまざまな企業に甚大な影響が及びましたが、観光業、インバウンド市場において、そのダメージは計り知れません。加藤社長はどんなことを感じましたか?

WAmazing・加藤史子社長:
昔から理論上は感染症のリスクはあるなと思っていました。インバウンドは国と国の国際交流の話が元になるので。ただ、新型コロナというのが全世界的に感染拡大して、かつ、ここまで長引いて、まだ不透明ということは全く想像していなかったです

125人の従業員を抱える加藤社長。一時、売り上げが98%減少する中、コストダウン新規事業資金調達の3本柱を実行に移したという。

“チーム優先”でオフィスは全面退去

三田友梨佳キャスター:
3つのことにおいて、新たなチャレンジという意味ではどういったことがありましたか?

WAmazing・加藤史子社長:
3月26日ですね。明確に覚えていますが、昨年の3月26日からフルリモートワークに移行して、結果として4月末に大家さんにオフィスの全面退去を申し出るということは、1つのコストダウンの決断でした。

三田友梨佳キャスター:
オフィス全面退去というのは、かなり勇気のいる決断だったと思いますが?

WAmazing・加藤史子社長:
確かにオフィスは単に場所という意味より、特にベンチャー企業にとっては、おシャレでカッコいいオフィスは採用にも重要だったりしますし、社員同士のコミュニケーションの場、もちろん愛着もありました。でも従業員へのメッセージとして、今非常にキャッシュが貴重な時期であること、その「危機感の共有」。もう1つは、オフィスを続けるぐらいだったら、20人のアルバイトの雇用を守りたい、「チーム優先」であるという2つを具体的に伝えたいと思ったのが、あっさり決断した理由です

語学の堪能な従業員を生かした翻訳サービスなど新規事業を立ち上げながら、従業員の雇用を守った加藤社長。

社会の価値観が大きく変わった2020年。オンラインで代替可能なものと、リアルでこそ価値のあるものが明確に区別され、旅はリアルにこそ価値があると強調する。

2021年は「生き延びる」から「飛躍」

三田友梨佳キャスター:
今後、ワクチンなどが普及したり、収束したあとリバウンド需要というものが見込まれますが、そうしたとき、加藤社長はどんな戦略、どんなビジョンを思い描いていますか?

WAmazing・加藤史子社長:
リバウンド需要は必ずあると思いますので、この波に乗り遅れないことが大切。2020年は生き延びるサバイバル最優先でした。最小限の冬眠、パワーもセーブしながら生き延びることが一番大切だったんですが、2021年の戦略は「生き延びる」から「飛躍」へ。人だったりお金だったり、いかに資源の再配分をするかがポイントだと思います

三田友梨佳キャスター:
加藤社長は収束後の未来について「ビジネスのための移動は減少するかもしれないが、旅行の需要は変わらないそのときに備えるためにオフィスを退去したり、役員報酬はゼロにしてでも従業員を守っている」とおっしゃっていました。市場が成長してるときに大きな危機が訪れたというのは、業界が危機感を共有しながら団結して努力できるチャンスだと話す姿には、強い決意が感じられました

(「Live News α」1月21日放送分)