生活に合わせAIが最適に制御してくれる冷蔵庫が発売
それぞれの家庭で生活リズムやスタイルは異なるだろうが、変化する生活スタイルに合わせて、AIが最適に冷却を制御してくれる冷蔵庫が登場した。
それが、三菱電機から2月1日に発売される、冷蔵庫「置けるスマート大容量・野菜室が真ん中」シリーズの新商品「MXDシリーズ」の2機種(「MR-MXD57G」、「MR-MXD50G」)だ。(価格はオープン)
特長は、「おまかせA.I.自動」ボタンを押すだけで、冷蔵庫全ての扉開閉データを収集し、AIがユーザーの冷蔵庫の使用状況を分析・学習する。そして、各家庭の生活パターン(活動時間と非活動時間)を予測し、自動制御で行うというのだ。
また、各家庭で異なる使用状況に合わせた最適運転により最大約10%の省エネを実現してくれるということで、便利になっただけでなく、環境にも良い冷蔵庫となっている。
さらに、三菱電機独自の家電・住設機器を統一して制御するスマートフォン専用アプリ「MyMU (マイエムユー)」で、 食品保存や買い物のコツなどユーザーのさまざまな「知りたい」に答える情報へ簡単にアクセスでき、 食生活をサポートしてくれるという。
AI搭載で自動で冷蔵庫を管理してくれるのはたしかに便利そうだが、AI家電が続々発売される中、新商品「MXDシリーズ」はこれまでの冷蔵庫と、どの部分が決定的に違うのだろうか。
三菱電機にお話を伺った。
氷が欲しいタイミングを予測して自動で急速製氷運転
ーー今回発売される「MR-MXD57G」と「MR-MXD50G」はこれまでの冷蔵庫から何が最も進化したの?
「全室独立おまかせA.I.」が家庭毎の使い方を学習し、手間なくおいしい保存を実現してくれます。2020年発売の従来製品では、全室の扉の合計開閉回数からAIがユーザーの行動を分析・学習して生活パターン(活動時間と非活動時間)を予測していました。
新製品は、扉ごとの開閉データを収集し、AIがユーザーの行動をより細かく分析・学習して生活パターン(活動時間と非活動時間)を予測します。そして、AIが予測した生活パターンに合わせ、全室の冷却を自動制御します。
例えば、製氷室では氷が欲しいタイミングを予測して自動で急速製氷運転を行い、瞬冷凍室では、作りたてのお弁当や調理中の熱いものを入れても自動でしっかりあら熱を取ることができ、家事の時間短縮にもなります。
冷凍室では使用状況を分析して、自動で食品の水分蒸発を防ぎ、食品への霜発生を抑制し、うるおいを保つことでおいしさを維持します。「霜ガード」を新たに搭載することで、4週間後の食品の霜付量を約27%抑制し、食材の水分を保ちます。
ーー開発までどれくらいの時間がかかった?
企業秘密となっており、ご回答を差し控えさせていただきます。
ーー今回の「MXDシリーズ」2機種発売の狙いは?
日本では、共働き世帯やシニア世帯の増加により、忙しい共働き世帯では料理をする人が主婦から家族全員へ移行し、シニア世帯では子供の成長や独立による食生活の変化など、生活スタイルにさまざまな変化が生まれています。また、コロナ禍で在宅勤務など家庭にいる時間も長くなっており、巣ごもり需要や内食が増えております。
これに伴い、家庭での冷蔵庫の活用方法も変化し、冷蔵庫を置く場所もキッチンにとどまらず、ダイニング、リビングなどへの設置が増えると想定されます。当社はこれまで、肉や魚を生のまま長く保存できる「氷点下ストッカーD A.I.」と、食品をおいしく冷凍でき、解凍不要で、必要な分だけ簡単に使える「切れちゃう瞬冷凍A.I.」という2つの独自機能を搭載した冷蔵庫で、家事時間の短縮に貢献するとともに、生鮮食品の長期保存などを実現してきました。
今回、AIによる最適制御を冷蔵庫の全室に広げ、スマートフォン専用アプリで、より便利に使える機能を搭載した冷蔵庫を発売します。これにより、各家庭の生活スタイルに合わせた食生活をサポートします。また、LDKと調和するデザインの採用により、心地よい居住空間を提案します。
アプリ連動で食生活をサポート
各家庭の生活パターンを学習して、タイミングよく、そして家事の時短にもなるということだが、スマホ専用アプリ「MyMU」との連動についても聞いてみた。
ーースマートフォン専用アプリ「MyMU (マイエムユー)」について
独自の家電統合スマートフォン専用アプリ「MyMU (マイエムユー)」はまったくの新機能で、食生活をサポートしてくれます。
「MyMU」には、冷蔵庫の状態を一覧で確認できる「冷蔵庫モニター」、簡単な操作で温度を設定できる「温度設定」、使いこなせていない機能をユーザーにお知らせする「気くばりナビ」、食品保存のポイントを紹介する「おいしさアシスト」、レシピや早ワザを紹介する「お役立ち」の機能があり、冷蔵庫内の食品を活用したレシピや食品の上手な保存方法など、日々の食生活をサポートします。
例えば、肉や魚を保存する場合、使用する予定に合わせて、10日間以内なら「氷点下保存・生のまま」を、約3週間なら「瞬冷凍室・切れちゃう状態」を勧めるなど、庫内の最適な保存場所と保存のポイントを紹介します。
扉の開閉回数もアプリで確認・通知できるため、離れて暮らす家族の冷蔵庫の使用状況も分かり、遠隔での見守りにも活用できます。
また、レシピ動画メディア「DELISH KITCHEN」監修による、約100種類の食品の保存場所や買い物のコツをアプリ内で紹介、食生活をサポートします。さらに、「切れちゃう瞬冷凍A.I.」のWEBページに掲載しているレシピ集へのリンクを活用できるので、メニューの幅が広がります。
ーー「MR-MXD57G」と「MR-MXD50G」は、大きさや内容積が違うだけなの?
内容量の違いのみで、機能的な違いはございません。
ーー三菱電機はAIが搭載された冷蔵庫を開発、発売したのはいつ頃から?
切れちゃう瞬冷凍A.I.としてAIを搭載し始めたのは、2019年1月15日に広報発表し、同年2月21日から順次発売したMX、MBシリーズが当社としては"初"となります。
扉ごとの開閉データを収集し、生活パターンを予測してくれる“AI冷蔵庫”。専用アプリを使うことによって、食品の適切な保存方法や冷蔵庫の使いこなし方も教えてくれるので、「AI機能を使いこなせるか不安」と思っている人にも安心だろう。
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