皇室のしきたりと異なった育て方
終戦から15年後の1960年に誕生し、きょう、戦後生まれとして初めて即位された新天皇陛下。
乳母に育てられる皇室のしきたりとは異なり、一般家庭と同じように、両親である上皇さまご夫婦のもとで育てられたのは初めてのことだった。
誕生から1年後の会見では、“家庭で育てられた”新天皇陛下を感じさせる一幕があった。
記者の「お言葉なんかはそろそろ？」との質問に美智子さまが、「言葉らしい言葉はまだ申しません。ブランコゆする時にぶーぶーと言ったり」と返すと、上皇さまは「まだあまり通じませんからね」と笑顔で話していた。
すると美智子さまは笑いながら「通じます」と返す。
ご夫婦で育てられているのが伝わる温かいやり取りだった。
皇室の歴史に詳しいモラロジー研究所の所功教授は「親もとで一緒に生活をしながら人格円満な、甘やかすのではなくて、むしろかえってご一緒だからこそ、厳しくなさったと受け賜っております」と話す。
そうして育てられた陛下には、庶民的な一面もあり、26歳の時にはファンだった人気アイドル柏原芳恵さんのコンサートに参加し、バラの花をプレゼントなさったこともあった。
その後、学習院大学の大学院をご卒業。
大学院修了も、天皇として初の経歴だ。
“大きな糧になった”留学
さらに“天皇として初”となったのが、59歳のお誕生日で「自分にとっても大きな糧となっていることに深く感謝をしております」と述べられた、イギリスの名門・オックスフォード大学への留学だった。
1983年から2年数ヶ月に渡る留学について、前述の所功教授は「世界的な貢献ができるお方になられる意味が大きいと思います」と解説した。
その後、外交官だった雅子さまとご結婚。
長女の愛子さまもイギリス留学を経験されている。
今月2月、即位を控え述べられたのは
「過去の天皇のなさりようを心にとどめ，国民を思い，国民のために祈るとともに，両陛下がなさっておられるように，国民に常に寄り添い，人々と共に喜び，あるいは共に悲しみながら，象徴としての務めを果たしてまいりたいと思います」
との言葉だった。
また、「時代時代で新しい風が吹くように、皇室の在り方もその時代時代によって変わってくるものと思います」と語られていた。
上皇さまをいつ拝見できるのか
天皇陛下を退位された上皇さまと上皇后さまの今後について、フジテレビ皇室担当の橋本寿史解説委員は、
「今回、上皇さまは、お年のこともあって公務を全身全霊を持ってできないということで退位をされたわけですので、今後は公務というものについてはすべてなさる予定はありません。
また、そうして動くと『二重権威』になるということを上皇さまは気にされているという部分があると思います」
と解説する。
さらに上皇さまを拝見することができるかどうかについては、
「公務というかたちではありませんが、私的な形で姿を拝見できる可能性は出てくると思います。
例えば、私的な交流のある方との行事。上皇さまであれば、ハゼの研究をされているので魚類学会のようなところとか、上皇后さまは、音楽に大変ご興味があるので音楽会に出席ということもあるかもしれません。
ほかにもプライベートで国内外の色々な方とのご交流がありますので、そういった場に出てくる可能性があるかもしれません」
と話し、今後も拝見できる可能性はありそうだ。
また、上皇さまと上皇后さまが大切にしていた被災地へのご訪問については、
「被災地というのは、上皇ご夫妻はこれからも心を寄せるということは思われていると思いますが、やはり即位された天皇陛下がいらっしゃるので、被災地に赴くのは難しい状況にはなってくると思います。
また、一般参賀が5月4日土曜日に予定されているんですけれども、そこには出られないそうです。ただ新年の一般参賀に関しては今、宮内庁では検討していて、お出で頂けるかどうか考えているということです」
とのことだった。
上皇ご夫妻の今後のお住まいはどうなるのだろうか。
橋本解説委員は、
「基本的には皇居には、天皇になられた方が住むという考え方で、即位された新天皇陛下と住む所を交換する形なんですが、改修等が必要ですので、上皇ご夫妻は高輪皇族邸という所に仮住まいをされて、両陛下が皇居へ引っ越すという形になっていきます」
と解説した。
新天皇陛下の主なご予定としては、午前10時30分に「剣璽等承継の儀」が行われ、午前11時10分に「即位後朝見の儀」、5月4日午前10時からは「即位を祝う一般参賀」が行われる。
