退職した従業員と企業のゆるい絆、つながりから生まれる新しい絆に注目した。

「スープストックトーキョー」で行われた新商品のオンライン試食会。

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参加しているメンバーは、元アルバイト従業員。

退職した従業員とつながる社内制度とは。

試食会にも参加 バーチャル社員制度

全国に70店舗を展開するスープの専門店「スープストックトーキョー」。

初の離乳食販売をきっかけに行われたオンラインの試食会には、現在、育児休暇を取得中の社員のほか、元アルバイトとして働いていた、子育て中のママたちが参加した。

これは、スープストックトーキョーが行っている「バーチャル社員」という社内制度の一環。

バーチャル社員は、退職した社員やアルバイトが登録できるもので、登録するといつでも10%引きで食事ができるほか、発売前の商品の試食会に参加することなどができる。

スープストック社員:
どうでしたか?

バーチャル社員 藤田真樹子さん:
水分が多かったみたいなので、最初はなかなか食いつきが悪かったんですけど、5倍がゆと一緒に食べさせたところ完食しました

一体、なぜ元従業員をバーチャル社員として活用するのか。

スープストックトーキョー・江澤身和副社長兼営業部部長:
もともとスープストックトーキョーで働いていた人であり、今はいちお客さまとして、スープストックトーキョーを利用してくれているので、いい意味で目線が厳しい。
なので、そういった方たちから声をもらったりすることで、自分たちの商品がどうお客さまに届けていったらいいか考えたりするヒントがもらえる

つながりから商品化も

バーチャル社員とのつながりは直接ビジネスになることも。

店頭で販売されている、スープストックトーキョーオリジナルのトートバッグやハンカチ。

これは、以前スープストックで社員として働いていて、現在はテキスタイルデザイナーとして活躍するバーチャル社員の氷室友里さんがデザインし商品化した。

こうしたつながりは、スープストックを介さずとも広げてほしいという。

江澤副社長兼営業部部長:
スープストックトーキョーで働いていたということも1つ“つながり”であり“共感”であり、共感してくださる方たち同士をつないでコミュニティーにしていったりとか、小さなコミュニティーがたくさんできてくるというのは、わたしたちとしてはうれしいこと。
バーチャル社員同士も含めて、横のつながりということを、もっともっと発信していきたかったり、そういう場をつくっていきたい

バーチャル社員には2つのメリットが

内田嶺衣奈キャスター:
退職したスタッフとのつながりを保つというこの取り組み。
素敵だなと感じましたが松江さんどんな印象ですか。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
つながりというのはキーワードだと思うのです。
まさに取り組みと私は2つのメリットにつながると思うのです。

まず1つは、顧客へのつながりということなんですが、この従業員というのは実は潜在的には「お客さん」「顧客」でもあるのです。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
特に飲食店の場合は、実際に会社を一歩離れれば、まさにお客さんになるということで、特に自社の製品や商品に対しては愛着が強いですから見方も厳しくなる。
いい関係が続けばコアのファンとしてお客さんとつながっていける。
こんなメリットがあると思うのです。

内田嶺衣奈キャスター:
企業にとっても一番の理解者かもしれませんね。
もう1つは何でしょう。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
もう1つは雇用へのつながりということなんですが、従業員との関係を会社を離れても良好に持っていくことによって、再雇用にもつながっていく可能性も開けてくると思うのです。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
特に飲食業は、今は非常に厳しいですけれども、構造的には人手不足ですから、特に飲食店にとっても良い人材をいかに確保するかが大事なのですが、もともと働いた方であれば信頼関係もありますし、さらに教育が必要なくなりますから即戦力として再雇用する。
このような可能性にもつながってくるのではないかと思います。

内田嶺衣奈キャスター:
子育てやパートナーの転勤であったり、さまざまな事情で働きたいけれども離れなければいけなかったという方たちが戻りやすい環境づくり。
広く進んでいってほしいと感じます。

(「Live News α」 1月8日放送分)