菅政権の幹部の地元の横浜市内の駅前では演説の声がこだまするものの、そこに政治家本人の姿は見えない。よく見ると、小さな台の上に置かれたモニターの中で政治家は演説していた。
ちょっとシュールな演説だが…コロナ禍での政治活動の変化とは?

この記事の画像(14枚)

握手しない“リモート街頭演説”とは?

フジテレビ政治部・高田圭太デスク:
“5人以上の会食リスク”が呼びかけられる中、菅総理8人での会食など、政治家の会食が大変注目されました。

そして12月18日にはもう1つ、竹本直一前IT政策担当大臣が約80人の後援者を招いて、政治資金パーティーと忘年会を開催しました。竹本大臣は飲食を伴う会食には不参加だったのですが、アルコールが振る舞われたりということで物議を醸しました。
このように会食が物議を醸す中、政治活動にも影響が出ています。

田中角栄元総理の有名な発言に「握手した数しか票は出ない」というのがあるのですが、今はコロナ禍では握手ができないということで、「エアタッチした数しか票は出ない」もしくは「ネットでアクセスをしてもらった数しか票は出ない」ということになりかねません。

坂井学官房副長官は、コロナ禍に加え副長官ということで、危機管理上総理官邸をなかなか離れられない。そこで議員宿舎の部屋の中から地元向けにリモート街頭演説をしています。

坂井学官房副長官:
どうも、おはようございます。

フジテレビ政治部・高田圭太デスク:
パソコンの画面越しですが、手を振ってるんですよね。道行く人はなかなか立ち止まらないんですけれども、人によっては不思議そうに目を向けていたり、画面の中の坂井さんに手を振り返す人もいたということで、それなりに目は引いていたようです。

通行人に聞いてみると、「今の時世だからいいんじゃないか」「今の時代には合っている」という声が多かったのですが、一方で「一方通行みたいで何がいいかよく分からない」という意見もありました。

そしてもう1人大変な目にあったのが、立憲民主党の小川淳也衆院議員です。小川さん自身がコロナに感染して、入院している所から医療現場の様子とコロナへの危機感を改めて発信したんです。ただ、体調的にも本当にギリギリだったみたいで、「選挙中だったらとても選挙にならなかった」というふうに言っています。

選挙期間中は難しい“リモート演説”の3つの難点

衆議院選挙は、2021年10月までには必ずあるのですが、恐らく新型コロナウイルスが完全に収束していない中での選挙になるわけですが、そういう中で自民党は11月、東京・浅草で大規模なリモート演説の会を実施しました。ここでは液晶モニターを通じて、リモートの弁士などが演説したんです。

こういうことが進んでいくと、もしかしたら菅首相や枝野代表がリモートで参加することになるのかなと思ったのですが、総務省に聞いてみると、「選挙期間中は演説の場所に電子モニターを置いてはいけない」のです。だから、こういうことも選挙の公示されてからはできないかもしれないということになっています。

そしてもう1つ、ネット選挙・リモート選挙の難点ということでは、
・ネットが苦手な高齢者にどうしてもなかなか伝わらない。
・知名度のある現職・著名人が有利になってしまう。
・政策とか人柄、情熱も伝わりにくくて、党の勢いとか風頼みになっちゃうんじゃないか。

元大阪府知事 橋下徹氏:
僕は「握手した数だけしか票が出ない」という田中角栄さんの時代から、今は変わってほしいと思っている。握手で票は違うと思うんだよね。だから、どう伝えるかという方法は考えなきゃいけないけど、むしろコロナ禍で握手とかウエットな人間関係じゃない、きちっとした政策の中身とか、そういうところで判断される選挙になるんだったら、まさにコロナ禍選挙はチェンジのメリットだと思うんです。そっちの方に期待しています。

(「イット!」12月21日放送分より)