大企業病を打破するために行動を

2016年9月に発足した、大手企業の若手・中堅社員が組織を超えて集結した有志団体「One JAPAN」。
参加企業は設立当初26社だったが、現在は45社となっている。
設立から1周年を迎えた10日、都内で開かれたイベントには、大企業病を打破しようと大手企業の若手・中堅社員約800人以上が参加し、組織を超えて各社の情報や課題を共有した。
「ぜひ一歩ずつ一緒に行動をして頂ければ」
団体の共同発起人・代表でパナソニックの濱松誠氏は、参加者にこう言って行動を呼びかけた。

基調講演ではAI研究の第一人者である、東京大学准教授の松尾豊氏が、「年功序列がイノベーションを遅らせる」と強調。
いまの日本経済の状況を、「戦後の焼け野原状態、一人負け」だとしたうえで、「経済成長を牽引しているIT産業は20代が最強で、若者が主役だ」と参加者にエールを送った。
また、このイベントでは各社の技術展「モノサービス博」も行われた。
この中には「One JAPAN」の活動を通じて生まれた技術もあり、アウトプットを示すことで、「若い者が集まっているだけ」といった批判を跳ね返す狙いもある。

イノベーションを起こせるのは若手のリーダーシップ
さらに今回は「One JAPAN」に参加する企業の若手中堅社員1600人を対象に「働き方改革」に関するアンケートを実施し、いま大手企業(1万人以上の大企業が6割)の若手・中堅社員(25~39歳)が、子育てをどう考えているか、その実態を調査した。
まず、家族状況は独身が4割、結婚して子どもありが4割、結婚して子ども無しが2割。
結婚している家庭で、片働きが3割で、共働きが7割を占める。
そして子育てと仕事の両立に不安を感じている人が6割で、うち女性は8割近くに達している。不安の理由は女性が仕事との両立、男性が金銭面だ。
こうした状況を受け「One JAPAN」では、提言として、政府と企業に対して「共働き・共子育て」ができる環境の整備と風土改革を求めていきたいとしている。

また、「イノベーション」についての質問では、85%近くが何らかの形で起こしたいと強く思っているが、実際に行動している人は半分以下にとどまっている。
世界がAIやICT、ロボット技術の開発に鎬を削る中、日本では大企業の意思決定の遅さや大企業病の弊害が指摘されている。
「少子高齢化の日本は、AIやロボットのニーズがありチャンスだ」(松尾氏)と言われている。
日本の技術の資産をフル活用しイノベーションを起こすことができるのは、若手の強いリーダーシップだ。