コロナ禍で自宅で過ごす時間が増えた人も多いだろう。だが、テレワークは上司の目がなかったり、この機会に自分磨きで新たなことを始めたりしても、なにかと自宅空間は誘惑が多いもの。

そのような今年において、集中力を高める「集中」アプリと、三日坊主を脱却する「継続する技術」アプリのダウンロード数が大きく伸びたと、スマホアプリを開発するbondavi株式会社が発表した。

出典:bondavi
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同社がリリースした全アプリの累計ダウンロード数が今年10月に200万を突破し、このうち「集中」(リリース日:2018年5月)のダウンロード数は約86万、「継続する技術」(同:2016年6月)は約76万で、この2つの合計だけで150万を超えている。

ダウンロード数が跳ね上がったのは4月の緊急事態宣言以降で、それ以前の2カ月と比較すると「集中」は23%、「継続する技術」は51%も増加したという。

bondaviは特にアプリの宣伝をしていないそうで、ダウンロード数が大きく伸びた原因について、「コロナ禍によるテレワークやおうち時間の増加で、家庭内で集中できる『集中』アプリや、新たな目標の継続を支える『継続する技術』アプリの活用が急増した」と推測している。
 

3秒で集中!生産性が上がる「集中」アプリ

ここで気になるのが、やはりアプリの内容だろう。「集中」は、仕事や勉強をする時間をあらかじめ設定し、疲れる前に休憩を促すタイマーのようなアプリ。

使い方は簡単で、時間と作業内容(テーマ)を決めるだけでカウントダウンがスタート。設定時間が終わると、作業に集中できたかを記録することができ、これらの操作はたったの3秒しかかからないとしている。

なお「集中できた時間」「できなかった時間」はグラフ化され、後で振り返ることもできる。

bondaviによると、集中と休憩のルーティンを繰り返すことで集中力を高め、継続させるそうだ。

面白いのは、アプリに使われる文章の随所に「笑いどころ」が散りばめられていること。やる気が出ない場合の解説に「勇気をもって、目を背ける」と紹介。「本当に10分だけ戦略」では、「“10分だけやる”ということに意味があります」として、最後に「さあ、タイマーをセットするがよい!」と肩を押す言葉があり、文章を読むだけでも楽しくなってくる。

提供:bondavi
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実際、「集中」の社会人ユーザーを対象にしたアンケートでは、「仕事の生産性がとても上がった」と「やや上がった」を合わせて、88.1%からポジティブな答えが得られたとしている。
 

毎月7000人が脱・三日坊主に成功

続いて、三日坊主を克服するアプリ「継続する技術」は、やりたい目標を設定し、1日1回実行出来たら画面をタップして記録するというもの。

特徴的なのは目標が1つしか設定できないことで、アプリの解説では、複数のことを何十日も続けられる人には「このアプリは必要ないでしょう」としている。このアプリでは「30日間続いたら成功」とされ、なんと毎月7000人が成功に導かれているという。

出典:bondavi
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「集中」と「継続する技術」はいずれも無料アプリで、その理由を「アプリを使う人の立場に立った時、そうあってほしいと思うから」だとしている。こうした姿勢もあってか、Appストアで「集中」の評価は最大5中の4.9、「継続する技術」は4.8と非常に高い。(12月18日現在)

しかしその反面、bondaviの主力であるモバイルアプリ事業は起業からずっと赤字続きで、すがすがしいほど儲からないそうだ。
 

出典:bondavi
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そのためbondavi創業者で代表を務める戸田大介さんは、他の仕事で生計を立てているという。また会社の公式サイトでは寄付も募っているのだが…経営はこのままで本当に大丈夫なのだろうか?

 「集中」「継続する技術」をそれぞれ、ビジネスマンはどう使いこなしているのか?と合わせて、気になる疑問を 戸田さんに聞いてみた。
 

誘惑が多い自宅でテレワークの仕事に集中する

――「集中」「継続する技術」はどんなユーザーが使っている?

ざっくりとですが、以下のような方が多いと思います。 

■ 集中 
・仕事でより高い生産性を求める社会人
・受験勉強や大学での学業などに励む学生

■ 継続する技術
・美容や健康に関心の強い人(運動などを継続)
・仕事や学業のスキルアップに関心の強い人(語学などを継続)


――社会人ユーザーはどんな使い方をしている?

 「誘惑の多い自宅でのテレワークで、仕事に集中する」「どの仕事にどれだけ時間をかけたか把握する」といった使い方を聞いています。


――社会人ユーザーからの評価は?

以下のような声が寄せられています。 

■ 集中
「25分でこんなにできるんだ!と集中がいかに大事か実感しました」
「時間を意識するので生産性が上がるだけでなく、仕事にかかる時間の見積もり能力も上がった」

■ 継続する技術
「語学のように先延ばししがちなスキルアップが実行できた」
「瞑想を習慣化できて、生産性や人間関係に好影響が出た」


――アプリの文章は誰が考えている?

私、代表の戸田が書いています。

1%のユーザーが「無駄機能」を購入

「集中」と「継続する技術」はいずれも無料で使うことができるのだが、実はお金を払った人だけが使える有料の「無駄機能」が実装されている。

三日坊主対策アプリの「継続する技術」は、1日の目標をやり遂げた後に表示されるコメントが「オシャレな雰囲気」や「中二病的」になるというのだ。

例えば「疾い…!ヤツの内部空間で加速する聖なる意志に、絶望の速度が追いつけない…!」などと応援してくれるという。
 

「集中」ではタイマーの一時停止が「ドラマティック」になるそうで、いずれも価格はiPhoneの場合で980円となっている。どんな内容なのか気になる人は是非ご自身で確かめていただきたい。


――「無駄機能」の売れ行きは?

ユーザーの1%弱がご購入してくださいます。これは通常のアプリの課金とは異なり、寄付に近い位置付けなのでやや高額に設定しています。購入しなくても全く問題なく、アプリはご利用いただけます。


――ちなみに寄付はどのぐらいあるの?

寄付は月に数件いただいています。最近少し増えた気もしますが、あまり大きな変化はないように思います。


――モバイル事業黒字化の見通しは?

このペースで成長すると、2年以内にはモバイル事業も単体で黒字化できる可能性があると想定しています。
 

ユーザーが急増しているということは、コロナ禍の生活で「集中」や「継続」に悩んでいる人が多いということだろう。

本当に三日坊主をやめたい人や集中力を上げたい人はもちろんだが、筆者も両アプリを使ってみたところ、どちらも解説文がとても面白かったので、話題になっているアプリがどんなものか、試しに文章を読むだけでも楽しむことができるかもしれない。
 

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プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

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