新型コロナウイルスの感染予防として、不要不急の外出自粛や在宅ワークとなり、外出の機会が減っている。少なからず寂しさを感じている人もいるだろう。
そのような中、ひとりの寂しさを和らげることできるかもしれないスマホアプリ「Zenly」の新機能が話題となっている。
それがこちらだ。
画面に表示されているのは、ユーザーがいま「どのぐらいの時間を継続的に自宅に滞在しているのか」という時間。
友人や家族などの位置を共有することができるコミュニケーションアプリ「Zenly」が、新機能として自宅にいる時間の長さを競い合う「自宅滞在チャレンジ」を3月26日、全世界で同時リリースしたのだ。
「自宅滞在チャレンジ」は、アプリ内で認証したユーザーが自宅に「どのくらい継続的に滞在しているか」「1日のうち、どのくらい滞在しているのかのパーセンテージ」を把握することができる機能。さらにユーザー同士の自宅滞在時間を反映したデータがランキング形式で表示されることから、この時間を競うことができるのだ。
なお「Zenly」は、AppStore・GooglePlayの両方でダウンロードできる。
Twitterでは「負けない自信しかないから誰か勝負しよ。」「世の中のことを考慮することはさることながら、実行スピードに完敗!」などの声があがり、大きな反響となっている。(4月3日現在)
新型コロナウイルスの影響で不要不急の外出自粛が各地で要請されている中での、「自宅滞在チャレンジ」機能のリリース。
自宅にいることをポジティブにとらえてゲーム感覚で競い合えるという、いわば逆転の発想だが、新機能開発の経緯などについて「Zenly」の担当者に聞いてみた。
感染拡大を防ぐことに繋がると思った
ーーなぜ「自宅滞在チャレンジ」という機能を追加した?
新型コロナウイルスの感染拡大防止のために家にいることが世界的に優先事項となっている中で、私たちは「Zenly」の自動自宅検知機能を使って、何かできることはないのかと考えていました。
家にいる時間が長すぎることはマイナスに思われがちですが、そのイメージを逆転させ、家にいることはよいことだと思ってもらうことによって、感染拡大を防ぐことに繋がると思ったからです。
ーー追加機能の開発期間はどれくらい?
5日間です。世界中の「Zenly」ユーザーと大切な人たちの健康と安全を守るためのプロジェクトを実現するために、チーム一丸となって開発をすすめました。
ーー例えばちょっとコンビニに買い物に行ったらどうなる?
スマホを持ったままコンビニに行くと、在宅レコードは止まり、スマホを置いて出かける場合は自宅にいると記録されます。
「世界各国の自宅滞在時間」をランキングにした機能も追加
ーー新型コロナ予防の観点で開発した「自宅滞在チャレンジ」以外の機能はある?
ユーザーが世界各国の感染者と回復者の人数をほぼリアルタイムでチェックできる「コロナ・ウイルスレンズ」を開発しました。
WHOと地方自治体が「ソーシャルディスタンス(社会的距離)」の大切さを呼びかけていることを受け、友達と会ったことを共通の友達に知らせるこれまでの「バンプ機能」を停止し、代わりにこの状況を安全にのりきるための情報を紹介しています。
友達同士で自宅滞在時間を確認できる「自宅滞在チャレンジ」に加え、世界各国の自宅滞在時間をランキング形式で確認できる機能も追加しました。現在、ニュージーランドが1位になっています。この3週間で数千万人もの人が在宅のために取り組んでいます。
ーーリリース後の利用者からの評判は?
SNSでは「ゲームみたいで楽しい」「家にいることを褒められているようでうれしい」等の反応がありました。
ーー海外でも「自宅滞在チャレンジ」は利用されている?
181か国の人々が使用しています。
「自宅滞在チャレンジ」の機能は、家にいることを推奨して新型コロナ感染予防に繋げる狙いで、わずか5日間で開発したものだった。
ちなみに「Zenly」は、友達や家族の位置情報を共有できるアプリで、「監視されているみたい」という声もあって一時話題となったものの、高校生を中心に利用者は広がっているという。これまでのアプリ利用者の声についても聞いてみた。
「Zenly」は正しく使えば監視されていると感じることはない
ーーアプリの利用者はどんな人が多い?
友達や家族が何をしているのかを知ることは、年齢、人種、性別、識字能力に関係なく、全世界共通の私たちのニーズです。そのため、Zenlyは世界中の何百万人もの人々にさまざまな理由で利用されています。友人から家族、同居人、政治家、タクシー運転手、NGO(非政府組織)など、これ以外にも様々な人に使用されています。
ーーリリース当初、「監視されるみたい」という声もあったようだが、ユーザーはどういう風に使っている?
「Zenly」はみなさんにとって最も身近な人。つまり、信頼できる人のための唯一のSNSです。「Zenly」を正しく使用していただければ、決して監視されているように感じることはありません。他のSNSのように常にSNS上で何かしていなければいけないというプレッシャーがないため、SNS疲れをしませんし、実際、何百万もの人々が、他のSNSに代わる健康的なコミュニケーションツールとして「Zenly」を使用いただいていると思います。
ひとりの時間を過ごすより、ユーザーの皆さんが友達や家族とより多くの時間を過ごせるようにすることが私たちが目指すところです。
ーー現在どのくらいダウンロードされている?
ダウンロード数は公開していませんが、日本で何百万人もの方に「Zenly」を使用していただいていることを嬉しく思います。
ーー最後に「自宅滞在チャレンジ」を利用する人に一言
私たちのこころはひとつです。家で安全に過ごしましょう。
新型コロナウイルスとの先の見えない戦いはまだ続きそうなので、今回の「自宅滞在チャレンジ」のような、少しでも前向きな気持ちになれる取り組みを利用し、まさに心を一つにして立ち向かわなければならない。
【関連記事】
「つい仕事以外のことを」慣れない“テレワーク”に戸惑う声も…課題と解決法を聞いた
新型コロナで長期休校…自宅でできる知育アプリの“無償提供”を発表した企業に称賛