2020年を振り返るとTwitter上でいろいろな話題が注目を集め、中には数万にも及ぶ人からリツイートされる“バズる”体験をした人も。

ただ、“バズりたい”という願望はあってもそうなるのは一握りで「実際バズったらどんなことが待ち受けるのか」は経験したものにしかわからない。

2020年の締めくくりとして、そんなバズった投稿者に、当時体験したことや、気になるその後を聞いてみた。

「岩手1号はニュースだけではすまない」

新型コロナウイルスの影響で、2020年はお盆の時期など帰省をやめた人が多くいる。また、現在は再び感染者が増えている地域もあり、年末年始の帰省も断念したという人が例年に比べて多そうだ。

そんな帰省について、2020年6月に岩手県に住む父親に相談したLINEのやり取りが話題となった。

「岩手に住む父に『そろそろ帰っていいかな』と軽く言ってみたところ…」というコメントとともに投稿されたLINEのトーク画像には、「絶対に帰るな」「岩手1号はニュースだけではすまない」という返答があったのだ。

Twitterに投稿したのは、実家は岩手県で現在は東京で暮らしているけいし(@pandafun20)さん。

当時は県をまたぐ移動の規制が解除されたこともあり、帰省していいかどうかを家族のグループLINEで連絡したところ、父親からの返答が「帰るな」だったのだ。

投稿した6月24日時点では、岩手県は国内で唯一、新型コロナウイルスの感染者が出ていない県だったこともあっての父親の返答だと思われるが、その後の7月29日、同県でも初の感染者が確認されている。

この記事の画像(6枚)

このけいしさんの投稿に対して、「私も岩手に帰省できません」「同じです。岩手来るなと友達、弟に言われました」と同じ境遇であるTwitterユーザーからコメントが寄せられ、また「立派なお父様ですね」「いいお父さん」「説得力を感じる」などのコメントがあった。

多くの人が同じ境遇にいることがわかったこの投稿は、12月下旬までに約4万2000リツイートと約15万1000いいねを集めるなど、大きな話題となった。

(参考記事:「絶対に帰るな」帰省を相談した父の返答が話題…岩手県担当者語る“感染者ゼロ”ゆえのプレッシャー

この投稿でテレビ局やニュースサイトなどの取材を受けたというけいしさんだが、その後は帰省することができたのだろうか。またバズったことで身の回りに変化があったのか話を聞いてみた。

まだ帰省できていません

ーーその後、帰省はできた?

できていません。10月ころに年末年始の帰省を父に相談しましたが、まだやめておいたほうがいいだろうとのコメントを受けて帰省は諦めました。


ーーさすがにそろそろ帰省したい?

春から帰省したいという気持ちはずっとあります。年末年始を実家でのんびりしたかったのですが、帰省できず悲しいです。


ーー帰ることができたら何をしたい?

家族で食事や部屋の掃除など、実家でしかできないことをしたいです。あとは、 岩手の冷麺は有名ですが、豚肉もおいしいので豚肉を食べたいです。祖母のいる愛媛に帰ったら、瀬戸内の魚たちを食べたいです。


ーー投稿後に岩手県で初めて感染者が出た時、どう思った?

岩手県で感染者が出た時はついに出てしまったなと思うと同時に、どうか感染者・感染者の周辺の人たちが二次災害的に被害を受けなければいいなと思いました。感染拡大については、全国的に広がっているので改めて気を引き締めないといけないと思っています。

普段から日常の何気ないことを投稿

ーーそもそも、あのLINEを投稿しようと思った理由を教えて

普段からTwitterには日常の何気ないことを投稿する習慣があるため、特に意図はなく投稿しました。


ーー「帰るな」と返答が来ることは予想していた?

父は基本的に子供の好きなように物事をさせてくれる人なので、「何かをするな」と言われるのは珍しく驚きました。

提供:けいしさん
提供:けいしさん

ーー当時ここまでバズるとは思わなかった?

思っていませんでした。普段の何気ない日常の投稿の1つでした。


ーーこの投稿が、今までで一番のバズりだった?

はい。私が前にバズったのはラブホテルネタだったので、それを家族ネタで更新できたことに安心しました。イメージ的に…

 

これまではラブホテルに行列ができているように見える画像を投稿したのが最高のバズり体験というけいしさんだが、今回それを更新した。当時の状況を教えてもらった。

祖母にテレビで姿を見せられた

ーー今回「バズってる!」と感じたのはどのタイミング?

長い間連絡をとっていなかった友人から投稿を見たと連絡が来たときです。


ーーその時は正直どう感じていた?

私の投稿のコメント欄や引用RTに全国のコロナに対する様々な状況が投稿されていて、ニュースで聞くよりも現実のこととして生々しく感じられました。


ーーバズって嬉しかったことはある?

嬉しかったことは画面を通して家族や遠くにいる友人に姿を見せられたことです。祖母は「テレビを見た」と喜んで電話をかけてくれたので、私も嬉しくなりました。

ーー困ったことは何かあった?

困ったことは、当時は地方に帰りたくても帰れない人や、帰らないほうがいいけれど帰らなくてはならない人が混在している状況だったので、私が地方に帰れない人の代表として、見てくれる人にどうすれば安心感を与えられるかというところに気を使いました。


ーー取材依頼はたくさんあった?

キー局4社の合計5回とネット取材3社でした。


ーー取材を受けた感想を教えて

対面・オンライン含めて多くの取材をいただきました。帰省をできず悲しんでおりましたが、画面を通して家族や遠くにいる友人に姿を見せられたのは嬉しかったです。


ーー印象に残っているリプライなどはある?

地方で最初の感染者になってしまうと、家に投石をされたり会社でいじめられたりと悲惨なことになるケースもあると知り、周囲も優しくサポートしてほしいと思いました。

家族にもちょっとだけ影響が…

ーーバズったことで変化はあった?

バズった直後は、フォロワー数が100名近く増えたと思います。あと、日常のなんでもない投稿に返答をする人が普段よりも多かった気がします。今はバズる前と変わらず平和にTwitterライフを楽しんでいます。


ーー疎遠になっていた友人から連絡などあった?

はい。私は今年で27歳ですが、高校卒業以降連絡をとっていなかった人など疎遠だった人と連絡をとるきっかけになりました。

ーーバズった時、家族の反応はどうだった?

家族はTwitterをしていないので、バズリ自体はよくわからない世界のことだと思っているような反応でした。


ーー投稿がバズったことで何か家族に影響はあった?

ハワイに暮らす妹が細々とYoutube投稿をしているのですが、その視聴者が少しだけ増えたようです。

YouTubeチャンネル「Merwin&MachihoときどきSimba」より
YouTubeチャンネル「Merwin&MachihoときどきSimba」より

ーーちなみに、またバズってみたいと思う?

特に思いません。私は一般サラリーマンのため、バズって得をすることはあまりないです。


ーーもしまたバズるならどのようなネタがいい?

次にもしバズるなら、家族や日常の嬉しかったことなどほんわかとした気持ちになれる投稿がいいですね。


ーー最後に、今後初めてのバズりを経験する人にアドバイスを。

今回のバズリで、バズると見知らぬ人を含めて無数の角度からコメントをもらうことになると知りました。突然のことで驚くかもしれませんが、1つ1つのコメントを真に捉えて疲弊するのではなく(良いコメントは喜び、嫌なコメントは無視しながら)、自分としてのスタンスを曲げずに楽しいTwitterライフを楽しめるといいと思います。

 

帰省はできなかったものの、投稿がバズったことでけいしさんはテレビの取材を受け、離れて暮らす家族に元気な姿を見せることができた。ただ、現在の状況から年末年始の帰省も見合わせるという。

現在もひとりひとりの予防対策が重要となる。早く皆が安心して帰省できる日が来ることを願いたい。
 

【関連記事】
「噂するのも村八分にするのもウイルスじゃない」“感染者ゼロ”新潟・見附市民の気持ちを代弁する漫画に共感
帰省を相談したら「東京大変らしいけどマスク足りてる?」…“京都特有”の言い回しの難易度が高い

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。