「アジフライの聖地」松浦市

長崎県北部に位置する松浦市は、玄界灘に面しているため、西日本有数の漁業の拠点になっている。特にアジの水揚げは日本一。そこで松浦市の“アジの取り組み”に迫った。

毎月、第3金曜日の長崎県庁でのランチタイム。庁舎内のレストラン前にできた、長い行列のお目当ては。

これ、アジフライだ。

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サクサクしていて、とてもおいしかった。日本一とは知らなかった

食材のアジは、水揚げで日本一を誇る松浦市から提供されたもので、県庁では第3金曜日だけの特別メニューとして登場した。

松浦市 友田吉泰市長:
アジは漢字で「魚へん」に「参」と書く。その「参」と、金曜日は「フライデー」ですから、“アジフライデー”ということで、きょうはアジフライの日ということで持ってきた

長崎県北部に位置する松浦市。鎌倉時代の「元寇」、蒙古襲来の地として数多くの史跡を残し、有名な水軍、「松浦党」が活躍した歴史の息づく街だ。

そして地理的には玄界灘に面しているため、アジ、サバ、フグなどの豊富な海の食材にも恵まれ、西日本有数の漁業の拠点になっている。

つけられたネーミングは“海鮮街道”。特に旬アジ(ときあじ)のブランド名でも知られるアジの水揚げは日本一だ。

この全国に誇る食材を活かそうと、2019年に松浦市は庶民に親しみやすいグルメとして「アジフライの聖地」を高らかに宣言、販路拡大とPRに乗り出した。

鮮度抜群の状態で水揚げされた松浦のアジは、すぐに地元で加工されるためフライになってもフワフワ感があり、旨味が失われないことが大きな特長だ。

アジフライを提供する市内の約30店は、パン粉や、ソースに工夫を凝らしたり、また中には自ら船を操って獲物を求めるなど、それぞれがこだわりの一品を提供しようと日々、奮闘している。

「日本地域情報コンテンツ大賞」に

松浦市が制作した「アジフライマップ」にはそんな必見の情報がいっぱいだ。

そして2020年11月、朗報が舞い込んだ。アジフライの特集記事を掲載した市広報誌「meets!まつら」が地域の魅力を伝える優れた情報誌に贈る「日本地域情報コンテンツ大賞」で、約500 媒体の中から最高賞のグランプリに輝いたのだ。

その表紙を見ると、男性が乗っているのはサーフボードではなくアジフライ。モデルは地元の魚市場の男性とか。

広報誌編集長 園田祐子さん:
松浦のアジフライが東京に行くという(イメージ)。アジフライに乗って“フライ”すると

受賞した号では「アジフライマップ」だけでなく、アジフライの東京進出や、広報誌から派生したアジフライグッズの紹介も掲載されている。

広報誌編集長 園田祐子さん:
審査員からシンプルにアジフライが食べたくなる、と言われたのが嬉しかった

松浦市は今回の受賞をきっかけに、改めて「アジフライの聖地」として全国への発信に努めたい考えだが、今年は新型コロナウィルスの影響で店の客足も落ち、関連イベントも中止されるなど、今は我慢の時期という。

松浦市 友田吉泰市長:
しばらく時間はかかるかもしれないが、コロナが落ち着いた後に松浦に来て食べてみたいという人を増やせれば

広報誌は県内の道の駅などで配布されているほか、松浦市観光物産協会のホームページでも公開されている。

自然豊かで歴史が息づく街を散策しながら、サクサク、フワフワの絶品アジフライも味わえる“海鮮街道”グルメ旅。果たして地元の期待に応え、大きな“フライ”はできるのか。今後の展開に注目だ。

(テレビ長崎)

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