島の課題を‟コスメで解決”する取り組み

佐賀・唐津市にある8つの島々。
年々進んでいる人口減少や高齢化など、島が抱える課題を“コスメ”、化粧品で解決しようという取り組みが始まっている。
乾燥が気になるこれからの時期に使えるアロマオイルに、ルームスプレー。
12月から唐津市で販売が始まった。

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堀江舞アナウンサー:
ホーリーバジルのルームスプレーです。ミントのようなさわやかな香りで、非常にリラックスできます

これらは、全て唐津の島の植物由来。
開発したのは、佐賀市の三田かおりさん(42)。
コスメで島の活性化を図ろうと活動する、NPO法人「リトコス」の代表。

NPO法人リトコス・三田かおりさん:
大きい目標を言うと、1つの産業をコスメで作りたい。それによって人を雇用できたり、子供たちが帰ってこられるような島にしたいと

高齢化・人口流出…島々の深刻な課題

唐津市にある8つの島々は今、深刻な課題を抱えている。
例えば高島の場合、島の人口はこの10年で4割近く減少し、高齢化も進んでいる。
島には小学校までしかないため、子供たちは卒業後、島の外に出てしまう。
また、耕作放棄地も増加していて、島共通の課題。

NPO法人リトコス・三田かおりさん:
ここも今、耕作放棄されているところを整地してて

そこで、三田さんが島で始めたこと、それは耕作放棄地を活用した植物の栽培。
島に自生する植物をはじめ、コスメに使用できる多くの植物の栽培を始めた。

NPO法人リトコス・三田かおりさん:
今までどこでも作っているものを販売・栽培していて、他との価値の差別化ができない状態だったので、“ここでしかできないもの”を外に販売しようと

高島では、耕作放棄地で島の人にインド原産のホーリーバジルなどを栽培してもらい、オリジナルのアロマオイルやルームスプレーを作るほか、大手メーカーにコスメの原料として販売している。

NPO法人リトコス・三田かおりさん:
イノシシが畑を荒らして、みんなが「育てたくない」と言っていた状態だったので

島民:
非常に助かっている。若い人も手伝って、「このままじゃいけない」という自覚が少しずつ芽生えている

島民:
もっと広げて、たくさん収穫できるようになったら、もっと高齢者がいきいきと活動できるんじゃないか

島の宝を活かして「安心・安全」届ける

一方、加唐島では…
“ツバキの島”で知られる加唐島。
島の樹の半数、4万5,000本ほどのツバキが自生している。
三田さんは加唐島でツバキの種を島の人に収穫してもらい、島にある工房で油を搾る。
加唐島産のツバキ油からは保湿オイルができた。

島民:
この島にツバキがあるということは、島の宝としてずっと続けて、ブランド化して、(このツバキを)全国的に広めていけたらいい

佐賀市出身の三田さんは大学卒業後、福岡県で化粧品会社で働いていた。

NPO法人リトコス・三田かおりさん:
販売をする中で、自分が作ったものでもない、すごく高い高級化粧品を売っていたので…私が感じる島の良さ・素材の良さ・安心安全を商品にのせて消費者に届けたいなと

地元に帰った三田さんは、唐津を拠点に化粧品産業の集積を目指すジャパンコスメティックセンターに入社。
2020年、NPO法人「リトコス」を立ち上げ、本格的に島の人を巻き込んだ活性化に取り組んでいる。
「Re to cos(リトコス)」という名前は、島の植物を“コスメに再生する”という意味が込められている。

「ふるさと納税」やネット販売で活路を

この日は、高島小学校でツバキ油やホーリーバジルを使った保湿クリームづくり体験。
地元の植物でつくる保湿クリーム。
子どもたちの反応は…?

小学生:
作るのが楽しかった

小学生:
地元のものを使って作っているのがすごいと思うし、自分も(将来)そんなことしてみたい

リトコスの商品は、現在3種類。島で取れた植物10種類が使われている。
今後は、販路の開拓が課題。
今は島の売店でのみ購入できるが、今後はインターネットでの販売や、ふるさと納税の返礼品として活用される予定。
島の植物を生かし、島の人を巻き込んだコスメづくりは、離島再生のきっかけとなるのか注目される。

(サガテレビ)

サガテレビ
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