新型コロナウイルスの感染拡大が続く現在、小売店などに置かれた「買い物かご」の衛生状態が気になったことはあるだろうか。誰かが触っていて、かごの持ち手部分は限られている。使用後に従業員がかごを拭いている姿も目にすることも多い。

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商品を持ち歩くにはかごがなければ不便だが、他人が触ったものには触れたくない気持ちもあり悩ましい問題だ。そんな悩みを解決する装置を、大手スーパーの「イオン」が導入したのをご存じだろうか。

約99.9%除菌「ジョキンザウルス」

それが、イオンが京都市の企業と企画・開発した「ジョキンザウルス」という装置。大きさは幅84センチ、奥行82センチ、高さ2メートル10センチで、外観はまるで電話ボックスのようだ。

「ジョキンザウルス」の外観(提供:イオンリテール株式会社)

しかし侮ってはいけない。この装置、内部に紫外線ランプや買い物かごの持ち手を1つずつ持ち上げる機能を搭載していて、スイッチを押すと自動で稼働し、買い物かごに付着した一般的なウイルスを約99.9%除菌するという。しかし侮ってはいけない。

除菌は買い物かごを台車に積み上げたままで行うことができ、一度に60個まで、1個につき約12秒で完了するといい、12分で60個、1時間で300個を除菌できるという。

実際の除菌の様子(提供:イオンリテール株式会社)

イオンはこの装置を9月から京都市の店舗に試験導入し、12月9日現在では「イオン東雲店」(東京)や「イオンスタイル幕張新都心」(千葉)などの14店舗に広げているが、どのような効果が出ているのだろうか。導入経緯や装置の仕組みと合わせて、イオンの担当者に聞いてみた。

使用済みの買い物かごは1日1万個以上

ーージョキンザウルスを導入した理由を教えて。

防疫対策の強化、除菌作業の従業員の負担軽減(省力化)が目的です。当社の店舗では、施設の換気や空気浄化のほか、買い物かごやカートの取っ手、サッカー台、エレベーターのボタンなどの拭き上げ、消毒清掃時の除菌により、継続的に接触感染対策を実施しています。

その中でも、買い物かごは使用の都度、従業員がアルコールなどで拭き上げ清掃していますが、使用済みのかごを一つ一つ丁寧に拭き上げる作業負荷が課題となっていました

使用済みのかごは従業員が手作業で除菌していた(提供:イオンリテール株式会社)

ーー除菌作業はどのくらい負担となっている?

店舗で違いはありますが、使用済みの買い物かごは1日あたりで平均1万個、大きな店舗だと平均2万個にもなります。かごの持ち手の裏側、かご上部の四面まで除菌するとなると、人間の手作業では1時間あたり、約200個程度となります。それがジョキンザウルスだと、1時間あたり300個は除菌できるので、省力化につながると考えました。

ーー装置の詳しい仕組み、こだわりを教えて。

装置の仕組みとしては、搭載した10本の紫外線ランプの照射により、かごの縁や持ち手などに付着したウイルスを約99.9%除菌します。イメージとしては、装置の上からUFOキャッチャーのように枠が降りてきて、買い物かごを持ち上げて、紫外線を照射します。終わると、一つ上の買い物かごを持ち上げて、紫外線を照射して除菌…という流れです。

こだわりは、買い物かごの取っ手を持ち上げる専用のアームも搭載していることで、人が最も触れる“かごの縁”や“取っ手の内側・外側”まで、丁寧に紫外線で除菌することができます。

取っ手部分も丁寧に除菌する(提供:イオンリテール株式会社)

ーー買い物かごの使用を嫌がる客などはいた?

特にそのようなお話は聞いていませんが、安心してお買物をしていただきたいという思いで防疫対応をしております。

従業員をコロナ禍以前の働き方に

ーーコロナ禍で買い物かごの清掃は変わった?

コロナ禍以前より、定期的に専門業者によるかご洗浄を行っていますが、手作業での拭き上げは従業員の負担となっているので、以前の働き方に戻してあげたいという思いがあります。

ーー導入でどんな効果を期待している?

従業員の負担軽減や省力化を期待しています。ジョキンザウルスで全ての買い物かごが除菌できるわけではありませんが、負担の軽減にはなります。また、お客さまにもこれまで以上に安心して、お買い物できる環境を提供していきたいとも思っています。

除菌の流れ(提供:イオンリテール株式会社)

ーー導入店舗ではどんな反応がある?

積み重ねた買い物かごの持ち手を一つずつ自動で持ち上げ除菌する光景が、お子さまなどに人気があると伺っています。従業員からも、一つ一つ拭く作業が楽になるという声は伺っています。

ーー除菌装置の今後の展開方針は?

今回の先行導入の状況を踏まえた上で今後、さらなる拡大を目指します。

12月9日現在の導入店舗(提供:イオンリテール株式会社)

イオンが買い物かごの除菌装置を導入したのは、コロナ禍の影響で増えた従業員の業務負担を軽減したいという思いからだった。利用客の視点から見ても、買い物かごが除菌されていることが分かるのは安心にもつながるだろう。導入が全国に広がることを期待したい。
 

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