元大阪地方検察庁検事正・北川健太郎被告(67)が、検事正という部下に影響力を及ぼしうる立場で、酒に酔って抵抗できない状態だった部下の検事(当時)・ひかりさん(仮名)に対し性的暴行を加えた罪に問われた裁判。
北川被告は2024年に開かれた初公判で起訴内容を認めたものの、争点の整理などを経て開かれた2年ぶりの裁判で「抗拒不能(抵抗できない状態)であったことは否認し争います」と無罪を主張していました。
きょう=11月6日は、ひかりさん本人に対する証人尋問がパーティション越しに北川被告がいる法廷で行われました。
ひかりさんは、当時着ていた衣服について、直後にすべて処分したと明かし、「夫に被害を知られたくなく証拠保全(被害にあった証拠として残しておくこと)なんて考えられませんでした」と証言しました。
■衣服を証拠として残すこと「夫に知られたくなくて考えられなかった」
ひかりさんは証人尋問で、検察側からの「当時着ていた衣服はどうしたのか」と聞かれ、「帰宅後、ごみ袋に入れて捨てました」と証言。
性犯罪の場合、当時着ていた衣服などを被害の証拠として残しておくことが重要とされますが、「夫に知られたくなくて、考えられなかった」と話しました。
【ひかりさん】「この当時、夫に被害を訴えられなかった(相談できなかった)。夫は司法試験の勉強をしている間もずっと励ましてくれていました。
検察官になれそうだとなったときに、全国転勤であることから夫に相談しました。『検察は唯一無二の仕事だから、検察官になってくれ』と言われ、検察官になりました。
仕事のサポートもしてくれて、飲み歩くこともせず、検察官としての私をずっと支えてくれました。
夫に検事正から性的暴行されたと知られたら、夫もみじめだし、大好きな夫に知られたくなくて、証拠保全なんて考えられませんでした」
北川被告はひかりさんが話す間、表情はあまり変わらず、手元に目をやり、メモを取るようなしぐさがみられました。
■検察側「被害者はろれつ回らず抗拒不能」
これまでの裁判では、検察側がひかりさんが懇親会で相当な量の飲酒をしていたと述べ、「ろれつが回らず、座ったまま机に突っ伏していた」など、抵抗できない状態だったと指摘。
その上で北川被告について「捜査経験も豊富で、性犯罪の被害者の心理も熟知し、性被害にあった被害者が被害を隠す傾向があるなどと認識できた」などと主張していました。
■弁護側「被害申告まで時間かかり客観証拠失われた」
一方、弁護側は「被害者が抗拒不能であったことや同意の有無を直接立証する客観的な証拠、当日の飲食店付近の防犯カメラ映像やタクシー車内のドライブレコーダー、官舎の防犯カメラなどが被害申告までに時間がかかりすべて失われた」と指摘。
さらに「被害者の供述は、懇親会の途中から性交の途中まで記憶が全くないというもので、抗拒不能、同意の不存在を認定するための最も重要な事実について、供述によっては何ら立証されていません」などと主張していました。
