11月5日に福岡ソフトバンクホークスから指名挨拶を受けた、福島県喜多方市出身の猪俣駿太選手。夢の“第一歩”となったドラフト会議にはドラマがあった。
■夢だったプロへ
ドラフト会議の開始1時間前。「緊張はしてないですね。いつも通りって感じで」と話した東北福祉大学の猪俣駿太選手。
「今日は1位で呼ばれて気持ちよく寝たい」と笑顔を見せた。
猪俣選手の特徴は、足を高く上げるダイナミックなフォーム。
185センチ・92キロの恵まれた体格から、最速155キロのストレートを繰り出す。
「チームを良い雰囲気にできるっていうところは、自分の持ち味だと思っている」と語るように、チームからも慕われ、スカウトが注目していた。
埼玉西武ライオンズの齊藤誠人スカウトは「真っすぐの力強さと、投げる角度が良い。成長とともに結果付いてくるピッチャーだと思う」と評価する。
■負けず嫌いが強みに
小学校2年生から2歳上の兄の影響で野球を始めた。父・肇さんは「兄の方が体も大きかったから、一撃で終わっちゃうみたいな。それでも向かっていっていた」と当時を語る。
母・睦美さんも「運動会では、リボンの色が一番の色じゃないと嫌だと」と話すように、幼い頃から“大の負けず嫌い”だった猪俣選手。
“負けず嫌い”が強さとなり、茨城県の明秀学園日立高校に進学後は、エースとして甲子園に出場。
大学では2026年の日本代表にも選出され、期待されたドラフト「上位指名」に父・肇さんは「やっぱり気になる」と話し、母・睦美さんも「一日一日過ぎるのが本当にやっとやっとで。段々怖い気持ちの方が。不安の方が大きくなっている」と語った。
■ドラフト会議当日
迎えたドラフト会議当日。猪俣選手は大学の別室で、両親は喜多方市で学生時代の恩師たちと一緒に見守った。父・肇さんは前日に「どんな形になっても先々がある。平常心で」というメッセージを送っていた。
緊張の瞬間が続くなか、4巡目が過ぎても指名されず少しずつ静まりだす会場。その時は“5巡目”で訪れた。
福岡ソフトバンクホークスからの5位指名に、涙する父・肇さん。母・睦美さんは「小さい頃からの夢だったので、それが本当に実現できる。これからが本番になるが、活躍する姿を皆さんへの恩返しで見せてほしい」と話した。
父・肇さんは「指導いただいた方々、ご支援いただいた方々に、本当に感謝しかありません。ありがとうございました」と感謝の言葉を述べた。
■活躍することが恩返しに
期待された上位ではなく5位指名に「これから抜かしていく」と活躍を誓った猪俣選手には、伝えたい思いがあった。
「感謝はやっぱり一番身近で支えてくれた両親や家族に最初に伝えたいです。今まで野球で迷惑をかけた分、野球で恩返しをするしかないと思うので、自分が活躍する姿を支えてもらった人たちに、また恩返しするという形で見せていきたいなと思います」
会見を終えると、真っ先に両親へ電話をかけた。
父・肇さんの第一声は「おめでとう」。電話口から聞こえる地元・喜多方市からの祝福に猪俣選手に笑顔がこぼれる。母・睦美さんは涙ぐみながら「夢叶えたね。よく頑張りました。これからも頑張ってください」とエールを送った。
猪俣選手は両親へ「これからもよろしくお願いしますということを伝えたいので。ありがとう」と感謝を伝え電話を切った。
夢への一歩を踏み出した猪俣選手。
「応援してくれる人たちが多いのは、自分の中で誇りでもある。やっぱり“負けず嫌い”っていうのは両親も言ってた通りあるので、順位関係なく選ばれたからにはその舞台で“自分が一番目立って”応援してもらえる選手になれるように頑張りたいと思います」と語った。
