おいしそうなすしがずらりと並んでいます。
新米の季節を迎え、すしのネタとなる海の幸にも脂がのっておいしさが増すことから、11月1日は「寿司の日」とされています。
そこで今回は地元で愛されている鹿児島県姶良市のすし店を取材。
仕入れから営業までこだわりの現場に、テレビカメラが初めて潜入しました。
子ども
「おいしい」
子どもから大人まで、夢中で頬張るのはすし、すし、すし!
JR重富駅から歩いて約10分。
姶良市脇元にあるすし店、「七八」です。
調理師の男性
「10年くらい(通っている)。満足感が違う」
90代女性
「どこに行ってもここのものがおいしい」
創業から約20年、地元から愛されるおいしさの秘密に迫ります。
午前5時半、威勢のいい声が響くのは、鹿児島市の魚類市場です。
仲買人が指で値段を伝えながら、鹿児島で水揚げされた魚を次々に競り落としていきます。
その日仕入れる魚を仲買人に指示しているのが、七八の吉村則幸社長です。
回転すし 七八・吉村則幸社長(70)
「1キロ1300円、買った」
吉村さんは鮮魚店を介さずに自ら毎朝市場を訪れ、魚を仕入れています。
魚の相場が日々、変動する中、購入可能な限度額を仲買人に伝えることで、すしネタに合う状態の良い魚を安い価格で仕入れることを心がけています。
吉村社長
「あれを買おうかな、天然のカンパチ」
姶良市内で飲食店を営んでいた頃から約30年にわたり市場に通い続け、失敗を重ねながら独学で魚の目利きを身につけた吉村さん。
例えばこちらのブリ、見定めるポイントを聞きました。
吉村社長
「これ、ちょっと細いじゃないですか。これなんかずんぐりして(太って)いる。ずんぐりして(太って)いる方が脂がのっている。(例えば)こっちがスニーカーならこっちがピンヒール。付け根の大きさが大きい方が脂がのる」
その目利きの腕に仲買人も太鼓判を押します。
仲買人
「天然ものにこだわっていて最高。こんな回転寿司屋、どこ探してもまずない。私も勉強になる」
「安いところから高いところまで幅広く知識があるので上手に買っている」
さらに、店では鹿児島の食文化にあわせたこんなこだわりも。
吉村社長
「あれ(クエ)を買おうかな。あのくらいが1日2日で使い切る。あれ(大きなクエ)を買っていけば(消費に)何日もかかる。よく『熟成』というけど、実は鹿児島は昔から文化が『ぶえんがいい』という『ぶえん』というのは鮮度がいいということ」
仕入れた魚をトラックに積み込み、車で30分ほどかけて店へ。
この日仕入れたのは15種類ほど。
毎日早朝の市場に立つ吉村さんには、目指すすし店の理想があります。
吉村社長
「立ち寿司(カウンターの高級寿司)と変わらない食材を使って単価的には回転寿司の単価を目指す。チェーン店みたいな安さではないけど」
午前10時、開店に向けた仕込みが始まり、すし職人たちが仕入れた魚を1匹ずつ丁寧にさばいていきます。
すし職人
「極力、身を残すようにギリギリ(皮に)身がつかないように丁寧にしている。(ネタは)ちょっとうち大きめだと思う。100円ずしと差をつけないといけないので」
仕込みの際にもそれぞれのネタのおいしさを引き出すポイントがあります。
すし職人
「皮と身の間に油があるから、この魚は極力、皮を剥がずに食べた方が良い。すぐ冷却。中の身が煮えてしまうから」
午前11時、開店時刻を迎え、駐車場で待ちわびていた客が早速、店の中に入っていきます。
入り口のいけす見て子どもが興奮。
「カレイがいる。ヒラメかな」
オープン当初は回転寿司のスタイルをとっていましたが、今は完全注文制に。
店では単品のすしのほか、仕入れによって日々ネタが変わるランチメニューも人気です。
Aランチはにぎり寿司6貫に巻物、赤だし、さらにあら炊きなど2品が選べます。
この日のにぎりにはあまり聞き慣れない「まごち」や「まるこぜん」といった地魚が。
吉村社長
「全国のチェーン店は全然扱えていない。地魚でいかないと特色が全然ない。差別化している」
轟木康陽記者
「すし店ではあまり見ない、まるこぜんという魚を食べてみます。青魚なのに臭みがなく歯ごたえもしっかりあってとてもおいしいです」
こちらは大トロをトッピングしたサーモンに、くるまえびやひらまさなどが並んだBランチ。
こだわりが詰まったすしに訪れた人は大満足です。
90代の姉妹
「おいしいからたまに来る。ネタが大きい」
調理師の男性
「チェーン店に比べれば高いかもしれないけど、ネタとコスパ考えれば全然こっちの方が僕は好き」
親子3世代で来店
「前食べに来ておいしかったので、(子供たちが)『まだ行ってない』というので行こうと」
Q.何のネタが好き?
「マグロとイカ」
「全然臭みもなくおいしかった」
質の高いすしを手頃な価格で。
チェーン店に負けない個人店ならではの強みを生かし、長年にわたり多くのファンを引きつけています。
吉村社長
「(理想は)県外から客がみえても、『ちょっといい寿司屋があるな』と思われる感じ。全然恥ずかしくないすし店を目指している。体力の続く限りは続けたい」
地元の魚を生かし、1貫1貫に思いを込めて。
地域に根ざしたすし店はきょうもおいしいを届けます。
