殺処分直前で保護されたイヌは災害現場で活躍するヒーローになりました。
国の内外の被災地に出動し救助者を捜索してきた神石高原町の災害救助犬に、感謝状が贈られました。
温かい毛布の上でうとうとしているのは、16歳のオス、夢之丞。
災害救助活動などに取り組む国際NGO、ピースウィンズジャパンの災害救助犬として7年間活動してきました。
神石高原町の入江嘉則町長が夢之丞の元を訪れ、これまでの貢献を称え、感謝状を贈りました。
【入江嘉則町長】
「命の尊さを伝えてくれた。自然豊かな神石高原町で、ゆっくりと暮らしてほしい」
【ピースウィンズジャパン大西健丞代表理事】
「彼自身の存在で、多くの殺処分が止まったので、動物と共生できる社会を最初に切り開いたのが夢之丞だったかなという風に思います」
大西代表理事が夢之丞と出会ったのは、2010年11月。
被災地で救助者を捜索する災害救助犬として活動するイヌを探して動物愛護センターを訪問。そこにいたのは、殺処分直前の夢之丞でした。
【ピースウィンズジャパン大西健丞代表理事】
「彼だけがぽつんと残されていました。失禁が30秒以上止まらなくて、虚空を見つめるような眼をしていました」
大西代表理事に保護された夢之丞。
初めは人におびえていたものの、トレーニングを重ねて成長し、災害救助犬になりました。保護犬から災害救助犬になったのは夢之丞が日本で初めてではないかと、大西代表理事は話します。
【ピースウィンズジャパン大西健丞代表理事】
「プロからは野犬は飼育に向かないと言われていた。私の期待以上に応えてくれました。(涙)16年分の思いが詰まっちゃったんで」
災害救助犬としての初めての活動は、2014年の広島土砂災害。
がれきの中を勇敢に進み、倒れた木の下にいた被災者を見つけました。
その後はネパールやインドネシアなど海外でも活動し、災害出動は17回を数えます。
【ピースウィンズジャパン大西健丞代表理事】
「普段はシャイだが、現場に出ると勇敢でほかの救助犬が臆しているときに平気で前に出るタイプでした」
高齢のため5年前に引退した夢之丞。
後ろ足が不自由になりましたが、車いすを使って1日3回の散歩を楽しみ、穏やかな余生を過ごしています。
【ピースウィンズジャパン大西健丞代表理事】
「息子のような存在ですね。最期の時間だと思いますが、やりたいことをやらせてあげられたら」
多くの被災者を勇気づけた夢之丞。
災害救助犬を引退した今も私たちに一つ一つの命の尊さを教えてくれています。
