鹿児島県阿久根市沖の海底から81年ぶりに引き揚げられた旧日本海軍の戦闘機「紫電改」が、10月27日、本格的な保存作業に向けて倉庫へ移された。世界に現存するのはわずか5機、国内ではこの機体以外に1機しか残っていないという極めて貴重な戦争遺産である。
世界で5機、国内ではもう1機のみ
紫電改が海に沈んだのは、第二次世界大戦末期のことだ。アメリカ軍機との空中戦の末、機体は阿久根市沖に不時着した。乗員の林喜重大尉は戦死し、機体だけが長い年月、静かに海の底に残された。
その機体が2026年4月、阿久根市沖の海底から81年ぶりに引き上げられた。世界に現存するのが5機、国内では他に1機という希少さを思えば、今回の引き揚げの重みがうかがえる。

仮設プールから倉庫へ
長年海水に浸かっていた機体は、塩分を取り除くため、出水市内の仮設プールで約半年間保管されてきた。当初は1年程度の保管が予定されていた。しかし9月末に行われた専門家の調査で、塩分が十分に除去できたと判断されたという。
27日は午前中から、紫電改の引き揚げに関わった団体のメンバーらが作業に当たった。機体の汚れなどを取り除きながら、本格的な保存作業を行う出水市の倉庫へ機体を移動させた。

「安全第一で進めていきたい」
引き揚げに関わった「北薩の戦争遺産を後世に遺す会」の肥本英輔代表は、今後について次のように語った。
「(今後は)行政と協力し、連携して、どういう形で本格的な常設展示を作っていくか考えたい。期待に応えられるように安全第一で進めていきたい」
本格的な常設展示の実現に向け、行政との連携を重視する考えを示した。

2027年初めには倉庫内で仮設展示へ
倉庫に移された機体には、保存に向けたさび止めなどが施された。2027年初めには、倉庫内での仮設展示が予定されている。
予定より早く塩抜きが終わったことで、保存作業は次の段階へ進んだ。81年の時を経て戻ってきた機体を、どのような形で後世に伝えていくのか。常設展示の具体的な内容や時期などについては、今後の検討が待たれる。

