地元の人や外国人観光客でにぎわう関西の商店街。
しかし中には、かつて存続の危機を迎えていた商店街も…。
奈良市の「奈良もちいどのセンター街」は、約25年前には、現在の3分の1程度しか人通りがなかったが、いまは1日に約2万人が訪れる商店街になった。
V字回復のきっかけは、初めてお店を営む人だけが最長3年間出店できる施設「夢CUBE」だった。
ピンチを救った秘策とアイデア、そして、この商店街ならではの魅力とは?
V字回復に成功した商店街の「ホントのところ」を調査した!
■ 近鉄奈良駅から徒歩5分!人気の商店街
近鉄奈良駅から徒歩5分、高速餅つきが名物の「中谷堂」のすぐ横に、「もちいどのセンター街」はある。
ここ数年で通行量が増えており、2000年代の大ピンチを乗り越えた商店街だ。
10月の3連休の中日に訪れると、大阪や三重、和歌山など各地からの観光客の姿があった。
ハロウィーンのかまぼこを買った人、奈良の野菜を鍋に入れて食べる「草鍋」を目当てに来た人、バイクでツーリングがてら立ち寄った人など、目的はさまざまだ。

■人気かき氷専門店「ほうせき箱」も
ランチの時間には、行列ができる飲食店が並ぶ。
中でも特に人気なのが、かき氷専門店「ほうせき箱」。
1日に訪れるお客さんの数は約260人!予約も3分ほどで埋まってしまうのだとか。
奈良のかき氷ブームの火付け役としても有名なお店が、この商店街の中にあるのだ。

■ 約25年前は通行量が“3分の1”に…
いまでは1日に約2万人が訪れる、奈良を代表する人気商店街となった「もちいどのセンター街」だが、実は25年ほど前には、いまの3分の1程度しか人通りがなかった。
奈良もちいどのセンター街協同組合・魚谷和良理事長:めちゃくちゃ少なかった。やっぱり世の中のライフスタイルが変わったっていうのが一番ですね。
車社会になり、大型店が郊外に次々と進出したことで、各店が時代の変化に対応しきれなくなったのだそうだ。
そこで約20年前、客足が遠のく商店街に新しいムーブメントを起こそうと、あるプロジェクトが始まった。

■未経験者限定&最長3年「夢CUBE」
プロジェクトで2007年に建てられたのは「夢CUBE」。
その名のとおり、建物は「箱」型で、全てがガラス張り!広さはわずか3坪から!集まった小さなお店のコンセプトは様々。
かわいい飴細工を職人が目の前で見せてくれる店や、群馬県桐生市の伝統工芸で、スカジャン発祥の技術とされる「横振り刺繍」の店や、編み物雑貨店まで揃っている。
「夢CUBE」最大の特徴は、初めてお店を営む人だけに出店を認め、期間を最長3年とした点だ。
賃料も周辺の繁華街より大幅に抑えられ、起業家が挑戦しやすい条件が整っている。
奈良もちいどのセンター街協同組合・前田孝登マネージャー:普通に物を仕入れて販売したいという方ではなく、その人らしさ、ちょっと普通+αを感じられるような方たちを選んで、実際にお話して合格してもらったらチャレンジしてもらいます。

■失敗を経て学んだ起業家たち
編み物雑貨店の店主はネイル学校の卒業間近に編み物にはまり、始めて半年で出店した。大きな決断をした理由は「夢CUBE」の出店期限が3年だったからだと話す。
建物倶楽部 Amimono Amumono. 三代真子代表:一般的な流れでは初期費用もドン!とかさんで、『もうやるしかねえ』みたいな感じだと思うんですけど、『夢CUBE』は、良いも悪いも3年っていう期限が決まっているので、やってみれる。
『夢CUBE』は失敗から学ぶ場でもある。人気かき氷店「ほうせき箱」を立ち上げた岡田桂子さんも、ここで3年間出店していた。
当時、岡田さんは朝8時に茶粥のモーニング、夜7時にしゃぶしゃぶのコースと、あらゆる挑戦をしたそうだ。
岡田桂子さん:色んなチャレンジをしてみたところ、かき氷しか売れないことが分かりました。毎日10食のモーニングを作っていたんですけど、全然いらっしゃらないので、私が5人分毎日食べていたんです。

■「夢CUBE」で思わぬ相乗効果も
「夢CUBE」のおかげで思わぬ相乗効果もあった。
2008年、商店街にスーパーがオープンし、若い起業家たちの店と生鮮食品を扱う日常使いの客が増えた。
商店街関係者:偶然かと思っていたのですが、後でそこのオーナーに聞いたところ、『夢CUBEみたいな事業をする商店街の中に出店したかった』とおっしゃってくださって。『夢CUBE』がきっかけになったということです。
商店街が力を合わせて考えたアイデアが、商店街の活気を取り戻しただけでなく、夢を抱く起業家たちを奈良に呼び寄せ続けている。
(関西テレビ「newsランナー」2026年10月21日放送)


