SNSで再生1000万回超え、噂の部活動を調査
SNSでの情報発信が当たり前になった今、大分県のある高校の吹奏楽部が大きな注目を集めている。
きっかけは、練習を続けたい生徒を早く帰りたい顧問が「蛍の光」の演奏で追い出そうとする、なんともユニークな動画。
これが1000万回以上再生される大バズりを記録し、部員数の増加や活動資金の確保にまで繋がっているという。
「早く帰りたい顧問」として動画に登場する先生が実は熱い思いを持った仕掛け人だった。
バズった「追い出しシリーズ」
日田市にある昭和学園高校吹奏楽部だ。2024年にはマーチングの全国大会で講評者特別賞を獲得するほどの実力派だが、彼らのもう一つの顔は、フォロワー4万人を抱える公式インスタグラムでのユニークな活動である。
なかでもSNSで話題沸騰となったのが、通称「追い出しシリーズ」。
まだ練習を続けたい生徒たちを、顧問の先生が「蛍の光」を演奏して追い出そうとする、思わずクスっと笑ってしまう動画だ。

この動画が人気を博し、中には1000万回以上再生されたものもあるというから驚きだ。
一体、このユニークな企画はどのようにして生まれたのだろうか?

バズりの生みの親は「変な先生」
(Qあれは誰が考えてるの?)
ーー部長
「顧問の中野渡先生です」
これらのバズり動画の生みの親は、動画にも登場している顧問の中野渡 基(なかのわたり・もとい)先生であった。
ーー中野渡さん
「当時は部員も人数が少なくて元気がないっていうのもあった。盛り上げたいというところで当時の部長などに相談しながら、じゃあSNSやっていこうっていうのが始まりなんですよ」

約2年前、吹奏楽部のPRのためにSNSを開設。
演奏動画などを上げる中、先生自ら編集も行っていたという。
そんな中、ある日投稿した「蛍の光」の動画が、突然「バズった」そうだ。
しかし、そのバズりは単なる偶然ではなかった。そこには緻密な計算が隠されていた。
ーー中野渡さん
「YouTube部隊がありまして、笑い声担当とか」
なんと、動画の中で聞こえる楽しげな笑い声は、専門の担当部員がいるというのだ。
撮影しながら笑うこともあれば、後から笑い声だけを録音し、編集で動画に挿入することもあるそう。
もはや何の部活か分からなくなるほどの、細部へのこだわりようだ。

個性豊かなエンターテイナー集団
SNSの盛り上がりには、部員たちの豊かな個性を活かす工夫も一役買っている。
「芸人が揃ってまして。吹奏楽部なのにギターを弾ける人とか」と中野渡先生が紹介してくれたのは、ギター担当の生徒。コードをざっくり伝えるだけで、見事に演奏をこなす技術の持ち主だ。自分が演奏した動画が何万回も再生されるのは、すごく嬉しいと話す。
さらに、こんな部員もいる。
ーー中野渡さん
「彼は民族楽器を」
普段はトランペットを担当しているという生徒の手には、見慣れない楽器が。
ーー部員
「これはアルメニアという国で主に使われている”ドゥドゥク”という楽器です」
ドゥドゥク…。
ちなみにこの楽器は、ネットで自費購入した私物だそうだ。

バズりがもたらした嬉しい効果
このSNSでのバズりは、部活動に良い循環をもたらした。
動画を見て入部を決める生徒が現れ、部員は36人にまで増えた。
効果はそれだけにとどまらない。
ーー中野渡さん
「うちは誰でも吹奏楽ができるようにするため部費のハードルをかなり下げてるんです。じゃあ、どこから収入を確保するかっていうところで、YouTube収益」
なんと、YouTubeで得た収益はすべて部費に充てているという。
小さな楽器やリードといった消耗品の購入費、さらには全国大会への遠征費などにも活用されているそうだ。SNSが、生徒たちの活動を直接支える形となっているのである。

先生の原動力は「子どもたちの笑顔」
中野渡先生がこの取り組みを始めた背景には、ある強い思いがあった。
ーー中野渡さん
「(当時は)コロナ禍で子どもたちに本当に笑顔がなかった。学校は楽しいよということを伝えたかった。私が変な人と思われてでも、やっぱり子どもたちの笑顔を取り戻したいなって」
先生の熱い思いがSNSでの大バズりを生み、笑顔あふれる吹奏楽部を取り戻した。
吹奏楽と動画制作に全力を注いだ彼らの青春は、きっと忘れられない素敵な思い出になるだろう。
これからも彼らが奏でる音楽、そしてユニークな動画から目が離せそうにない。


