大学三大駅伝の一つ、「出雲駅伝」が10月12日に号砲を鳴らす。この全国の舞台に、創部以来初めて駒を進めたのが金沢学院大学陸上競技部だ。チームを率いるのは、実業団で活躍した堀口貴史監督。その監督が自らスカウトした高校時代は無名だった2年生エース、浦野蒼日選手を中心に、チームは新たな歴史の扉を開く。名将のもとで才能を開花させた選手たちが、初の全国駅伝に挑む。
ニューイヤー駅伝10回出場の名監督がスカウトした無名エース 創部初の出雲駅伝へ

金沢学院大学陸上競技部。26人の部員が、来る大舞台に向けて練習に汗を流している。このチームを率いるのが、就任3年目の堀口貴史監督だ。

堀口監督は自身の指導法について、「私自身が学生時代にやってきたことだったり、実業団の時に私が教わってやってきたことをベースに、今の学生の力に合わせて練習メニューを作成しています」と語る。

その言葉には確かな裏付けがある。現役時代、堀口監督は実業団日本一を決めるニューイヤー駅伝に10回出場した名選手だった。トップレベルで戦い続けた自身の経験を、指導者として惜しみなく選手たちに注ぎ込んでいるのだ。
「本当に自分に合った練習」選手が寄せる絶大な信頼

堀口監督の指導は、画一的なものではない。選手一人ひとりの能力や状態を丁寧に見極め、それぞれに合わせた指導を行うのが特徴だ。練習中には「大きい動きをしないと。小さい動きでいくらやっても仕方ないから、もっと大きく可動域を広げるストレッチをして動けるようになっていこう」と、具体的なアドバイスが飛ぶ。

こうした細やかな指導は、選手たちのパフォーマンス向上に直結している。浦野蒼日選手は、「一人ひとりのメニューを見ていただいているので、『いつもより腕が振れていない』とか『腰が落ちている』とか、的確な指示をいただける。本当に自分に合った練習ができているかなと思います」と、監督への信頼を口にする。

また、佐々木彪我選手も「練習後のケアとかサポートとかもしっかりしてくれるので、すごく助かっています」と話し、競技面だけでなく、コンディショニング面での手厚いサポート体制もチームの強みとなっていることがうかがえる。

こうした堀口監督の指導と、それに応えようとする選手たちの努力が実を結び、金沢学院大学は創部以来初となる駅伝での全国大会進出を決めた。監督は「ここにいる選手たちで全国大会を経験したのは本当に何人かしかいない。全国大会に出る喜びを味わえたというか、出場権を獲得できたのはすごくうれしく思っています」と、選手たちの快挙に目を細めた。
監督が見出した“走りのセンス”

初の大舞台で堀口監督がチームの鍵を握る選手として名前を挙げたのが、2年生の浦野蒼日選手だ。「2年生の浦野が本学のエースになります」と、その期待は大きい。

富山県出身の浦野選手は、高校時代に全国大会へ出場した経験はない。しかし、堀口監督は彼の走りに特別な何かを感じ、自らスカウトに動いた。監督は当時を振り返り、「走りに軽さがありまして、走りのセンスを感じたところが私が欲しいなと思ったところでした」と明かす。

その見立ては正しかった。堀口監督のもとで練習を積んだ浦野選手は、その才能を一気に開花させる。今年11月に行われる全日本大学駅伝では、予選会で敗退した大学の中から選抜される日本学連選抜チームのメンバーに選ばれるまでに成長を遂げたのだ。
初の全国へ「楽しんで走れたら」

浦野選手自身も、自らの成長の要因を冷静に分析している。「監督とのコミュニケーションをとって、自分にあった練習ができたのが一番結果につながったかなと思います」。
監督との対話を通じて最適なトレーニングを積んできたことが、飛躍の土台となった。高校時代は無名だったランナーが、今やチームを牽引するエースとして全国の舞台に立つ。

初の全国駅伝となる出雲路へ向けて、浦野選手は「初めての全国の舞台ということで、まだまだ力が通用しないかもしれないですけど、出雲の舞台は楽しんで走れたらいいなと思います」と謙虚に、そして静かに闘志を燃やす。

創部初の全国駅伝出場という新たな歴史を作った金沢学院大学陸上競技部。堀口監督と選手たちが一丸となって挑む全国の舞台での挑戦が、今まさに始まろうとしている。
(石川テレビ・10月5日放送)
