鹿児島県霧島市の国有林で、国内最大規模となるバイナリー式地熱発電所の起工式が執り行われた。「出てきた蒸気と熱水を全量地下に還元するメリットもある」と担当者が語るこの発電所は、再生可能エネルギーの新たな可能性を示す取り組みとして注目を集めている。
霧島の国有林に誕生する「霧島烏帽子岳バイナリー発電所」
今回着工したのは、九州電力の子会社である九電みらいエナジーが手がける「霧島烏帽子岳バイナリー発電所」だ。建設場所は霧島市霧島田口の国有林、約2万2000平方メートルに及ぶ。
起工式には九電みらいエナジーや霧島市の関係者らが出席し、かま入れなどを行って工事の無事を祈った。

そもそも「バイナリー発電」とはどんな仕組みか
バイナリー発電とは、地熱を利用して沸点の低い液体を蒸気に変え、タービンを回す発電方式だ。高温の蒸気が必要な従来の地熱発電と異なり、比較的低温の地熱資源でも活用できる点が特徴である。

九電みらいエナジーの藤本顕治地熱開発部長は「低温の資源でも有効に活用できるものとしてバイナリー発電という方式を採用している」と説明する。さらに「出てきた蒸気と熱水を全量地下に還元するメリットもある」と述べており、環境への負荷を抑えた持続可能な発電方式として評価されている。

30年越しの調査がついに実を結ぶ
この発電所の実現には、長い年月がかかっている。藤本部長は「30年ほど前から調査開始からかかっていて、ようやく皆さんの協力をもらってできて、ありがたく思う」と感慨深げに語った。地域や関係者との長期にわたる連携があって初めて、着工にこぎ着けた事業だといえる。
約1万600世帯分の電力を供給予定
霧島烏帽子岳バイナリー発電所では、年間3200万キロワットの電力供給が計画されており、これは約1万600世帯分に相当する。営業運転の開始は2028年度を目指している。

国内最大規模の地熱バイナリー発電所が霧島市に誕生することで、地域のエネルギー供給に大きく貢献するとともに、再生可能エネルギーの普及に向けた重要な一歩となりそうだ。

