愛媛の高校生が地元B級グルメの全国発信に挑む
「イタリアンの味がします」
そう口にした瞬間、バリバリという小気味いい音が響く。
愛媛県四国中央市の隠れたB級グルメ、「しこちゅ~バリバリ」を全国に広めようと、地元・川之江高校の2年生たちがプロジェクトを立ち上げた。
試作を重ね、市内の飲食店とコラボし、オリジナルキャラクターまで生み出した高校生たちの奮闘が、地域に新たな熱気をもたらしている。
「しこちゅ~バリバリ」袋の中で細かく割りながら、具と混ぜて楽しむB級グルメ
「しこちゅ~バリバリ」は、市内のビジネスホテルの支配人が、新たなB級グルメを目指し、静岡の富士宮焼きそばを参考に考案したもの。
麺を油でパリパリに揚げたかた焼きそばに様々な具材をトッピングし、袋の中で細かく割りながら、具と混ぜて楽しむグルメだ。
考案したスーパーホテル四国中央の工藤隆支配人は「高校生たちも、ここで試食をしてくれた時に“これはおいしい”ということになって、子供たちの中には私たちで絶対この『しこちゅ~バリバリ』という名前を、広めてあげるということを言ってくれたので、みんなで協力してやっていこうよ、ということになりました」と話す。
今年1月から提供を始めたものの、ホテルの宿泊客限定だったため、このスナックメニューをどんどん売り込み、地域活性化につなげようと、地元・川之江高校の生徒たちがプロジェクトを立ち上げた。
川之江高校の千羽孝幸教諭は「自分たちで四国中央市の魅力というものを発信できる機会といったものが、この『探究の時間』で得られている。本人たちもすごい生き生きとしているので、積極的に取り組んでいる様子が印象的だ」と語った。

川之江高校オリジナルにアレンジ
高校生たちの取り組みは今年3月にスタート。
プロジェクトチームの2年生8人は、まず『しこちゅ~バリバリ』を川之江高校オリジナルにアレンジしてみようと考えた。
8月下旬、レシピづくりが始まった。
「ブレックファースト風」や「サトイモコロッケにいよかんジャムのソースを添える」など、若者らしい斬新なアイデアが次々浮かび、生徒たちは4つのメニューを考案。
早速、試作を進めた。
「作っては試食」「作っては試食」を繰り返すメンバーたち。
納得のいくレシピの完成を目指す。
2年の井上結愛さんは「まだまだおいしくできると思うので、一個一個細かいところのおいしさを追求していきたい」と、熱く語る。

プロ目線で発想する新メニューを依頼
高校生たちは自分たちの試作と同時に、市内の飲食店と『しこちゅ~バリバリ』のコラボも進めていた。
協力してくれる店舗にプロ目線で発想する新メニューを依頼。
初めて『しこちゅ~バリバリ』を食べたという飲食店のオーナーは?
Machi Cre・高橋英理子代表:
「めっちゃくちゃ斬新ですね。ザクザク感出すために、どうやってるんだろう。すごく中がサクッとしてるんですよ。それと外のしっかりしたお味が絡んですごくバランスよくておいしいです」と絶賛。
スイーツ店を始め、焼き鳥店や中華料理店、ハンバーガーショップなど6つの店舗がコラボ商品の開発を受けてくれた。
髙橋代表も「うちの商品にパリパリのクレープがあるんですけど、そのパリパリ感とザクザク感と合わせて、それに甘いものを乗せて何かできないかなとか…」と、早速アイデアが飛び出した。
またcafe cherry blossomの鈴木繁之オーナーは「僕たちが普段店の営業で考えていることとは違って、学生さんが主体になって新しいことに挑戦するというのは、いい刺激になりました」と高校生たちのバイタリティーを絶賛する。

イメージキャラクターも制作
またプロジェクトチームは、同年代の若者たちに興味を持ってもらおうと、『しこちゅ~バリバリ』のイメージキャラクターの制作も進めた。
デザインを担当する2年の鎌倉柚香さんが見せてくれたのは、ホテルで提供されているベーシックな4種類のしこちゅ~バリバリのうち、『あんかけ大将』のキャラクターだ。
地元名産の水引を取り入れたキャラクターが目をひく。
一方、高校生たちのアレンジレシピにも進展が。
地元産のトマトやカボチャなど7種類の野菜に加え、豚肉でイタリアン風味に仕上げたその名も「しこちゅ~ベジバリ」が完成した。
川之江高校オリジナルの『しこちゅ~ベジバリ』に加え、コラボ参加の6店舗のメニューもできあがった。
メニュー発表の場は、高校の文化祭だ。
川之江高校3年の川井双葉 生徒会長の宣言で始まった高校の文化祭。
今年のテーマは『1度きりの今~Shakeitup!~』だ。
各部活がパフォーマンスを発表したり、お化け屋敷をつくったりなどして20カ所のブースが出店した。

「しこちゅ~バリバリ完売させるぞ!おー!」
プロジェクトチームは、玄関そばにブースを構えた。
『しこちゅ~ベジバリ』や店舗とのコラボメニュー用のトッピングも揃い、食べ方を解説したポップをテントに貼りつけて、準備は万端だ。
2年の宮内唯衣さんは「もう全部おいしくなってるので、食べてほしいです!みんなに」と意気込みを語る。
メンバー渾身の新B級グルメの噂を聞きつけた市民や、生徒らが次々と来店。
来場客:
「バリバリすげえっ」「バリバリがおいしい」「無いですねこんなん無いですね」
「麺が軽くっておいしい」「3つぐらい買っとこうか3個ちょうどあと3個ですか」
7種類の『しこちゅ~バリバリ』は、大人気。用意した70食は2時間ほどで完売した。

四国中央市といえば『しこちゅ~バリバリ』
高校生たちも、
「思ったよりたくさん売れて、人気でうれしい」
「自分たちで考えたり、色んなお店とコラボしてもらったので感謝しかない。これからも、みんなに助けてもらった分、自分たちで『しこちゅ~バリバリ』を広めていきたい」
「四国中央市といえば『しこちゅ~バリバリ』という、四国中央市の目玉となるようなB級グルメになってくれると思います」などと手ごたえ十分だ。
まずは市内での認知度が大きく上がった『しこちゅ~バリバリ』。
“全国発信”を目指す高校生たちの挑戦は、始まったばかりだ。


