大阪地検特捜部に所属していた検事が恫喝的な取り調べをした罪に問われた裁判で、弁護側は無罪を主張し、「検察の組織的改革が必要で、被告一人を有罪にしてもトカゲの尻尾切りに過ぎない」などと主張しました。
■“プレサンス事件”の取り調べで「恫喝的な取り調べ」か
不動産会社「プレサンスコーポレーション」の元社長・山岸忍さんは、当時の部下らと共謀して、21億円を横領したとして大阪地検特捜部に逮捕・起訴されましたが、無罪判決が確定しました。
その後、裁判所は、事件当時特捜部に在籍していた検事の田渕大輔被告(54)が、山岸さんの元部下の取り調べで大声で罵倒したり、机を叩いたりしたとして、特別公務員暴行陵虐の罪で刑事裁判を開くことを決めていました。
この取り調べで得られた供述が、山岸さんを逮捕・起訴する大きな柱となっていました。
■映像の前後の取り調べなど見ると「罪には当たらない」
田渕被告はこれまでの裁判で、無罪を主張しています。
きょう=10月6日の裁判では弁護側が主張を行い、「田渕被告による取り調べで作成された調書の任意性が問われれば、否定されたかもしれないが、今回問われているのは刑法195条で『凌辱』か『加虐』にあたるかがが問われている」と話しました。
(陵虐・加虐…暴行以外の方法で人に対して精神的・肉体的苦痛を与えること)
さらに、「映像のインパクトだけではなく前後の取調べなどを見ると、その罪には当たらず、無罪」だと主張。
■田渕検事を有罪にしても「トカゲの尻尾切りに過ぎない」
そのうえで、「検察官役の指定弁護士が冒頭陳述で述べた『この事件における裁判所の判断いかんで、我が国の取調べの在り方が根底から変わることになると』という指摘については、一面で同様の意見を有しています」と述べ、さらに次のように続けました。
【弁護側】「指定弁護士の指摘が、『この事件が有罪にならなければ、田渕検事を有罪にしなければ、取調べの在り方が根底から変わることはない、取調べの問題は何ら改善されない』ということを示唆するものであるとすれば、これは大きな誤りです。
検察庁、特に特捜部における取調べの問題点は、ひとり田渕検事を有罪にすれば改善されるというものではありません。
問題点は、検察庁という組織、そこにおける取調べの問題性を、制度として根本的に見直さなければ、改善され得ないものです。その意味において、田渕検事を有罪として全てが解決するというという考えは、トカゲの尻尾切りに過ぎない」
