6月には多くの産地で田植えを終えますが、同紙の6月上旬の社説でも「米価暴落の危機」「主食用米からの転換急げ」と切実に訴えていました。さらに、作付けの意向を取りまとめる各地域の組織やメディアは8月の転作申請の変更期限まで転作を促しましたが、必死の訴えも虚しく、主食用米の作付けが高水準を維持して供給過剰となる一方で、加工用米や飼料米は大幅に不足する見通しとなっています。
なぜ転換が進まなかったのか
では、供給過剰が予見されていたにもかかわらず、なぜ主食用米の生産は増えたのでしょうか。
主な理由として、今年春の段階では卸売業者や小売店が高値で仕入れた2025年産米が流通しており、店頭価格も高値を維持していたため、多くの生産者が「主食用米のほうが手取りが高くなる」と判断したことが挙げられます。また、食料システム法に基づき、再生産可能な水準として「米のコスト指標(玄米60キログラムあたり2万535円)」が提示された際、これが最低価格保証でないことは理解されつつも、現場の生産者の間には「国が示した目安であり、これ以下の水準には落ち込まないのではないか」という一定の期待感が広がっていた側面もあるでしょう。
ところが、2026年産米のJA概算金(仮払金)の中心値は、1万6000円〜1万7000円台にとどまる見込みとなっています。全国最低水準は1万2000円台でした。前年に比べて平均で4〜5割の下落となり、ほとんどの産地銘柄が2万円を大きく割り込んでいます。
天候との理不尽な闘い
一方で、「供給過剰」と言われながらも、天候との厳しい闘いに直面している産地が多いのが実情であり、今年は想定よりも収穫量が低くなる可能性もあります。
栽培中の度重なる豪雨によって、石川県や千葉県などでは水没する農地も多くありました。私がかつて稲作に従事していた地域でも、街全体が浸水している様子を報道で目にしました。これまで手塩にかけて育ててきた稲や整備してきた農地が、たった一度の悪天候によって水の泡になってしまう理不尽さを痛感させられます。せっかく収穫したお米が浸水してしまったという生産者もいました。
さらに、くず米(規格外米)が増加することで、市場に回るお米の流通量が減る可能性もあります。
その主な要因の一つが、豪雨や長雨による「稲の倒伏」です。稲が倒れてしまうと、稲刈りに膨大な労力がかかるだけでなく、下になった稲に日が入らず十分に光合成ができません。また、穂が濡れたまま放置されると、籾から芽が出る「穂発芽(ほはつが)」を起こし、品質を大きく落としてしまいます。

