捨てるにはもったいないけどもう着ない

ファッションショーなのに新作の発表はゼロ。この異色の取り組みの狙いを取材した。

ランウェイを歩くモデルが着ているこのアウター、実は...

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モデル(30代):
5年くらいずっと着ていたので大事にはしていたんですけど、最近服の好みがちょっと変わって3~4年は着ていないと思います

9年ほど前に購入し、今はもう着ていない自分のアウターだという。

11月26日に行われたメルカリの「サステイナブルファッションショー」。

“タンスの肥やしとなった衣類”などの利用を促す取り組みで、一般参加者が持ち込んだ服をプロのスタイリストがコーディネート。しまいこまれていた洋服に再び息が吹き込まれた。

モデル(30代):
その当時の自分にとっては結構高い値段を払った思い出があるので、なんか捨てるにはもったいないし、かといって今は着ないしというので、生かす場が欲しいなと思って。こうやって揃えていただいたことで、また着たくなりました

年間100万トンを廃棄

小島ファッションマーケティング調査によると、廃棄される衣料品年間100万トンほどと言われていて、そのうち95%ほどは一般家庭から出た衣料品だという。

また、2019年は国内で28億点の洋服が作られ、うち半分の14億7300万点が売れ残っている。この売れ残った洋服の一部も新品のまま廃棄されている。

大量生産・廃棄の問題に加え、製造過程での温室効果ガスの発生も問題視されていて、アパレル業界ではサステイナブル(=持続可能)な取り組みが広がっている。

ファッションアドバイザー・MBさん:
実際、海外のファッション業界だと、サステイナブルじゃないと、もうかっこ悪いという感覚に変わりつつあるんですよ。だからオーガニックがかっこいいとか、環境負荷を軽減させたものがかっこいいという価値観が生まれると、それをきっかけに環境に目を向ける人が多分たくさん出てくると思うから。それこそがファッションがやるべきことだと思うんですよ

チャリティーショップなどで再循環を

内田 嶺衣奈キャスター:
コミュニティデザイナーで環境問題にも詳しいstudio-L代表の山崎亮さんに聞きます。ファッション業界の新たな取り組みをどうご覧になりますか?

コミュニティデザイナー・山崎亮氏:
いよいよファッション業界が変わるときが来たなという印象でした。今年は環境に配慮したエシカルなファッションが一気に前に進んだ年でもあって、コロナで新しい服を買うことが少なくなった時期でもありました。なのでファッションの業界自体が今こそ変わらなくてはいけないと決意したのではないかと思います

山崎亮氏:
廃棄される服は想像以上に多くて、デザイナー側もファッション産業の業界の構造についての問題を感じ始めています。例えば、流行色の服を売りたいがために、あえて売れなさそうな他の色を作ってショップに並べることもやっていて、当然売れなかった方は廃棄することが前提になっているので、こういう戦略はもう通用しなくなっている時代です。

内田 嶺衣奈キャスター:
大量廃棄を今後より無くしていくためには、どのような取り組みが求められていくのでしょうか?

山崎亮氏:
イギリスのチャリティーショップという取り組みに注目しています。地域の方が要らなくなった服をお店に寄付して、その服を販売して、利益が出たら社会的な課題解決のための資金として使う。こういった取り組みがイギリスでは日常になっています

山崎亮氏:
僕も2年程前から東京・千代田区を中心に似た取り組みをしています。地域の方々が寄付してくれた服に子供達が値付けをして、これをまた地域の方に販売して、そこで出た利益を癌患者の支援基金として使ってもらっています。「大量生産、大量消費、そして大量廃棄」この大量廃棄の部分をチャリティーショップで受け止めて、服が再循環することになれば、大量消費をちょっと軽減させることになり、結果的に大量生産を少し抑制していくことができたらいいなと考えています

内田 嶺衣奈キャスター:
素敵な取り組みだと感じます。私もコロナの自粛期間中に断捨離をして、本当に必要なもの、着たいものを今後はもっと選んで買わないといけないと感じました。消費者側の意識も大切ですが、山崎さんがおっしゃる、その後を考えた無駄を無くしていく取り組みもさらに広がっていって欲しいと感じます。

(「Live News α」11月26日放送分)