8月末に福井県の嶺北を襲った記録的な大雨から1カ月。坂井市ではソバ畑の約500ヘクタールが冠水し、壊滅的な被害を受けました。農家は収穫を期待できず、地元産にこだわるそば店は新ソバの確保に頭を抱えています。
坂井市丸岡町にある「大宮亭」は、丸岡産のソバ粉にこだわって提供しています。その味は評判で、地元はもちろん県外からも多くの人が訪れる人気店です。
来店客は―
「良く来ます。昔からあるし、ソバがおいしい」
「すごくおいしい。他のメニューも豊富で、何かあると大宮亭」
8月の大雨では店の周りも水に浸かり、店内にも水が流れ込みました。店は休業せざるを得ませんでしたが、幸い食材や調理機器などは無事だったため、2日後には営業を再開できました。
ところがいま、店はもう1つの大きな問題に直面しています。
大宮亭・本谷佳孝店長:
「今年のソバの仕入れをどうするか…丸岡産のソバはほぼ全滅と聞いているので、来年分の新ソバを確保することに非常に頭を抱えている」
まもなく訪れる新ソバの季節。丸岡産のソバは例年、7月下旬に種をまき、10月下旬に収穫します。今回の大雨は、順調に育っていたソバ畑を直撃し、坂井市内の約500ヘクタールで冠水被害が発生しました。
9月8日の取材で、大雨の被害状況について丸岡町のソバ農家・大川勝利さんは「水がついて引いた後、 次の日に36度まで気温が上がり地面が蒸れて根が腐り、根元がふらふらになってしまった」と話していました。
大川さんが管理するソバ畑は、ほとんどが冠水しました。小さい苗はほぼ流された上、残った大きな苗も根元が黒くなって腐ってしまったといいます。
前回の取材から2週間。 改めて大川さんのソバ畑を訪ねてみると―
「これが水に浸かったソバ畑。見た感じもう全然生えてないのが分かると思う」(大川さん)
畑は、水が引いた後、被害を受けたソバの苗や雑草を取り除き、きれいに整えました。種のまき直しを検討しましたが、収穫時期まで時間がないため、断念。契約している店には、今年の新ソバは提供できないとお詫びの連絡をしました。
「今までに11月にソバが壊滅になったことは1回もないし、どうしたものか…失業したようなもの」と肩を落とします。ただ、大川さんの畑の一部には、ごくわずかながらも被害を免れた苗が。これでタネを確保できるため、来年は丸岡ソバの収穫ができるといいます。
「初めはくよくよしていたが、いまはもう立ち直って前向きな姿勢で頑張っていくしかないと思って毎日作業に取り組んでいる」(前川さん)
ソバを仕入れる店側も、来年の新そばシーズンまで休業することなく提供し続けたいと話します。
大宮亭の本谷佳孝店長:
「丸岡産がとれるのであれば使わせてもらい、足りない分は(他の)県内産のソバを使ってやっていきたい」
大きな被害を受けた“丸岡ソバ”。今年は厳しい収穫となりそうですが、それでも農家や店は前を向いています。
