かつて才能に悩み抜いた若き日の堀田秀吾くんが、自分には集中力の才能がないとため息をついていたあのとき。
彼が考えるべきだったのは、「集中力を死ぬほど鍛える」ことではありませんでした。「自分の集中力が、自然にスイッチの入る場面はどこだろう」と探すことだったのです。
もう少しわかりやすく言いますね。音楽の例で見るかぎり、練習という行いそのものは、素質をひっくり返す魔法ではありません。素質を表に出すための道具として働いているのです。
素質+練習+自分に合った場所
素質と練習は、トランプの絵札と数字札のようなものです。それぞれ違う役割を持ちながら、同じ手の中にあって、組み合わさってはじめて意味のある手になります。
素質だけでは札が伸びず、練習だけでは札が薄い。自分の素質に合った場所で練習を積むことが、いちばん強い手になるのです。
別の言い方をすると、自分が「向いているな」と感じる場所をざっくり探しておくと、そのあとの練習の効きめが何倍にも変わるということでもあります。
本書が「才能を見つける」ことに大きく力を入れているのも、まさにこの理由からなのです。
素質と関係のない場所で1万時間練習しても、その時間は、素質に合った別の場所での1000時間に届かないかもしれません。だからまず、自分の素質と相性のいい場面を探す。この順番こそが、いちばん理にかなっているのです。
堀田秀吾
明治大学法学部教授。言語学者(法言語学、心理言語学)。著書に『科学的に元気になる方法集めました』(文響社)、『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)、『ハーバード、スタンフォード、オックスフォード…科学的に証明された すごい習慣大百科』(SBクリエイティブ)など多数。

