「山がきれいに色づき始めましたが、周りに観光客の姿はありません」(中村真也記者)
噴火警戒レベルが引き上げられた北海道の十勝岳。
秋の行楽シーズンを前に、観光にも影響が出始めている。
ホテルなどでキャンセル相次ぐ
上富良野町の十勝岳温泉「凌雲閣」には高齢者等避難が出され、キャンセルが相次いでいる。

「初日は2~3件のキャンセルだったが、もう50件以上に。把握しきれていない部分もあるので、件数が増えるのではないか」(凌雲閣のスタッフ)
美瑛町の白金温泉は避難指示の対象にはなっていないが、訪れた人は。

「実感がないから何とも言えない。今いる範囲は危険区域に入っていないと言われたが、入ってしまったらどうしようか考える」(観光客)
紅葉の時季を迎え、書き入れ時となる宿泊施設では。
「9月中に約30件のキャンセルが、シルバーウィークなどを中心に出ている」(美瑛白金温泉 ホテルパークヒルズ 斉藤信道総支配人)

十勝岳の噴火警戒レベル3の入山規制に引き上げ
札幌管区気象台は9月12日、十勝岳の噴火警戒レベルを2の火口周辺規制から3の入山規制に引き上げた。
8月17日から揺れの大きな火山性地震が増加したためだ。
火口から3キロの範囲では大きな噴石が飛んでくる危険性があるため、警戒を呼びかけている。

「噴火警戒レベルが3に上がっているので、入山規制がかかっています」(北海道の防災ヘリによる呼びかけ)
これを受けて北海道の防災ヘリが、上空から登山者に退避を呼びかけた。

上富良野町が吹上温泉に避難指示を出したほか、美瑛町など対象となる自治体では登山道に入山規制の看板を設置するなどした。
「キャンプ場にテントを張りオートバイで回ってきた。規制でキャンプ場に入れなかったらどうしよう? 荷物が全部置きっ放しなので」(観光客)

噴火を繰り返してきた十勝岳
十勝岳は噴火を繰り返してきた。
今から100年前、1926年の噴火では山肌の雪が解け、火山灰や土砂と一緒になって流れ下る泥流が発生した。
死者・行方不明者が144人に上る大惨事となった。
「避難小屋の右手約100メートルの地点まで泥流が流れている」(無線で報告する人)

1988~1989年の噴火でも泥流が発生。
火山活動が長引き、避難生活が長期化した。
これから冬を迎え、雪のシーズンにはさらに注意が必要だ。

雪が降る冬には注意が必要
「今後、注意が必要な積雪状態になる。積雪期に噴火警戒レベル3相当になると、レベル4ということになる」(札幌管区気象台 高橋裕二 火山対策調整官)

これから雪が降る冬を迎える。
十勝岳が噴火したら、かつて大きな被害を及ぼした泥流が再び起こる可能性はあるのだろうか。
専門家は。
「土砂崩れのように山の形が変わるような山体崩壊が起こらなければ、泥流発生の危険性はそれほど高くない。小噴火であっても崩れると、100年前のような泥流が起こる可能性も考えなければならない」(北海道大学 地震火山研究観測センター 青山裕 教授)

十分な警戒が必要だ。
