12日に行われたバレーボールアジア選手権の準決勝で、男子日本代表は韓国にストレートで勝利した。世界ランキング24位の韓国を13点、11点、14点に抑えての完勝で、試合時間はわずか1時間16分だった。
ロサンゼルス五輪出場まであと1勝。決勝は世界ランキング18位のイランと対戦する。
チームを乗せた石川のプレー
12日の韓国戦は、試合開始直後に待望の瞬間が訪れた。
イタリアでのシーズン中に負ったケガの影響で、なかなかコンディションが整わず調子が上がらなかった主将の石川祐希が大爆発。韓国の得点源であるオポジットの攻撃を開始早々にブロックで封じると、ここまでなかなか見られなかった大きなガッツポーズでほえる。

中盤には深津英臣のサーブから、韓国の攻撃をリベロの山本智大が好守でつなぎ、最後は石川がバックアタックを決め、ここでも大きなガッツポーズで喜びを爆発させた。
「終始、いい形で試合を進めることができた」という石川だけでなく、大会を通して好調を維持する髙橋藍、オポジットの西田有志の攻撃はもちろん、サーブも冴えた。
特にこの試合で高い効果を発揮したのが、ミドルブロッカー小野寺太志のサーブだ。ジャンプサーブではなく、独特の変化を伴うジャンプフローターサーブで相手を崩すだけでなく、少しスピードをつけたサーブも織り交ぜ、韓国のコートにノータッチで落ちる。
この試合だけで3本のサービスエースを決めた小野寺は「一人ひとりが得意なコースがある中で、僕も好きなコースに打った。それがいいところに行ってくれた」と笑顔で振り返った。
光った山本の好守
攻撃やサーブもさることながら、光ったのは守備だ。派手なスパイクやブロックは一気に流れを引き寄せるが、実はそれ以上に会場の空気を一変させ、最も盛り上げるのが相手の強打を好レシーブでつなぐ瞬間でもあり、ラリーを制すると一気に盛り上がる。
これまでの試合と同様に、まずは日本に対してサーブで攻める韓国に対しても、山本の堅守が冴え渡る。ブロックと連携し、強打をレシーブしたかと思えば、コートの外に飛ばされたボールも拾い、次のプレーにつなげる精度で返す。まさにディフェンスこそが日本の武器、と何度も見せた。
1、2セットを難なく連取した後、第3セットは相手ブロックにつかまり、1対5と劣勢スタートの中、勢いに乗らせるものかとばかりに好守を連発した山本の活躍が、逆転へつながる起爆剤になり、山本も「いいところで拾えてリズムがつくれた」と笑顔を見せた。

快勝で決勝進出。好材料がそろうように見えるが、アクシデントもあった。
第3セット、14対9と点差を5点に広げたところで、レシーブ時に体勢を崩した石川が交代を申し出た。その前のプレーで、スパイク後の着地からやや脚を気にする素振りもあり、心配要素ではあるが、ベンチに下がった石川と最初に会話を交わしていたのも山本だ。
「『やれよ』って言いました(笑)。今日はスパイクも非常によかったですし、明日が最後。頑張ってほしいし、彼の力が必要なので喝を入れておきます(笑)」
ティリ監督「明日の試合が一番大事」
決勝の相手はイラン。これまでも何度も大事な局面で対戦してきたアジアのライバルと、五輪出場をかけて戦う。まさにこれ以上ない大一番だ。
予選ラウンドでは相手のペースに巻き込まれることもあったが、決勝進出を決め、ロラン・ティリ監督は「全員が力を増し、上り調子。今までの道のりでいろいろと大変なことはあったが、その中でここまで進んでこられた」と手応えを示しながらも、イランに対しては「明日の試合が一番大事であり、ヨーロッパのチームのような強さがある」と警戒する。高さと速さ、選手個々やチームとしての経験。すべてにおいて今大会でこれまで日本が対戦してきた相手を上回る強敵であるのは間違いない。
特に要注意すべき選手は、オポジットのポリヤ・ホセイン・ハンザデ・フィルジャ。ここまで今大会最多得点を挙げており、スパイクランキングでも首位を走るポイントゲッターだ。攻撃を封じるブロック、自在に攻撃させないためにサーブで攻めることはもちろんだが、山本が掲げるポイントはやはりディフェンスだ。
「イランも非常にいいサーバーが何人もいるので、まずはしっかり耐えること。日本に似てディフェンスもいいし、コンビの精度も高いチームで、相手の攻撃面でいえば、サイドへのトスが速いのも特徴。だからこそ、ブロックするのか、ディグで上げるのか。明確にすることが重要で、この2つが勝利のカギになると思います」

ネーションズリーグから続いてきた長い戦いも、すべてはこの決勝で勝利するため、といっても過言ではない。主将の石川も「必ず勝ちきりたい」と意気込む最終決戦。ロサンゼルス五輪出場、そしてアジア制覇をかけ、イランとの大一番を迎える。
(ランキングはいずれも2026年9月13日現在)

