今、あらゆる地域で深刻な問題になっている「シャッター商店街」。かつて地域の顔だった商店街が、消えつつあります。
そんな中、滋賀県大津市の商店街は、3カ月に1度、目玉商品を100円で販売するという「100円商店街」というイベントを開き、大きな賑わいを生んでいます。
関西テレビの秦令欧奈アナウンサーが取材しました。
■3カ月に1回 目玉商品を100円で「100円商店街」
秦アナウンサーが商店街を訪れると、そこには人だかりができていました。
【秦令欧奈アナウンサー】「ちょっと見てください。信じられないほどの数の人がいらっしゃいます。こんな混んでいる商店街、私は見たことないですね」
その正体は、「大津100円商店街」というイベントです。
丸屋町商店街、菱屋町商店街、長等商店街という全長およそ500メートルの3つの商店街で80ものお店が参加。
15年前から3カ月に1回、商店街中のお店が目玉商品を「100円」で販売しています。
■1回につき「3万人から4万人」
おいしそうなお惣菜パンが100円、喫茶店ではアイスコーヒーが100円。「手のもみほぐし」15分も100円です。
さらには韓国で大流行中のスイカジュースも、こちらの商店街のお店では、国産の大玉スイカを贅沢に使っていますが、もちろん100円です。
スイカジュースを提供する「丸二果実店」のオーナー・寺田武彦さんは「普段は500円。きょうは『100円商店街』やから。きょうだけで300~400杯出る」と話します。
1回につき3万人から4万人、秦アナウンサー曰く「試合開催日の野球場ぐらいの人」が訪れるそうです。
店の人も「普段は微妙」と話すほど、ほかの日はお客さんが決して多いとは言えない商店街だそうですが、確実に賑わいを呼んでいます。
■元手がかからないイベント「100円商店街」
なぜこんなイベントを開くことになったのでしょうか。
秦アナウンサーはスイカジュースを100円で提供していた青果店「丸二果実店」のオーナー・寺田武彦さんに「100円商店街」が始まった経緯を聞きました。
【秦令欧奈アナウンサー】「最初、100円市やるって聞いたとき、どう思いましたか?」
【丸二果実店・寺田武彦さん】「僕が『やろう』って言うて、みんなに声かけたんやから」
なんと、こちらの寺田さんこそが、「100円商店街」の生みの親だったのです。しかし当初、周囲の反応は冷ややかなものでした。
【丸二果実店・寺田武彦さん】「最初はみんなやる気なかった。商店街は何したってあかんという雰囲気が漂ってた。どんなイベントやっても失敗ばかりやったから、お金ばかりかかって。ところが『100円商店街』はお金がかからない」
■参加店は「売り上げアップになる宣伝費と思って」
「100円商店街」は、特別なものや設備は必要なく、それぞれのお店ができる範囲で100円の商品を用意するので、イベントを打ち出す費用もほとんどかかりません。
【丸二果実店・寺田武彦さん】「各お店がイベント会場やから、自分とこで頑張ってもらわないと。お店の魅力でお客さんを呼ばへんかったら意味がない」
秦アナウンサーが商店街を見ていくと、リサイクルショップでは加湿器が100円、衣料品店ではブランド品のブラウスまで100円で並んでいます。
お店の人に秦アナウンサーが「大丈夫なんですか?」と思わず心配すると、「赤字ですね。でも他のところで知ってもらって、皆さんに来てもらったら、売り上げアップになるので。宣伝費と思って」という答えが。
100円で販売することで売り上げ自体は赤字でも、お店を知ってもらう宣伝効果を期待して、どこのお店も参加しているのだそうです。
■秦アナウンサーが魅力を体験「3万円のブルゾン」も100円
秦アナウンサー自らも、この「100円商店街」の魅力を体験してみました。衣料品店のラックからブルゾンを発見しました。
【秦令欧奈アナウンサー】「かっこいいブルゾンが出てきました。おー、あったかい!しかもぴったり。古着系男子って感じじゃないですか」
秦アナウンサー、お店の人に恐る恐る「お値段、本当に100円ですか?」と聞いたところ、返ってきたのは…
【店員】「はい。100万円でございます。」
【秦令欧奈アナウンサー】「いや、100万円!?冗談ですよね、さすがに。」
店員さんの「ボケ」でしたが、本来3万円はするというブランドのブルゾンを100円で購入することができました。
このお得なイベント。過去に5万円以上はするという絹のジャケットを購入した常連客は、「お金を使い切られへん、安いから」と満足気です。
■新しい店舗も170年以上営業する老舗も
商店街には3年前にオープンした予約必須の人気イタリアンレストランも店を構えています。
有名ホテルで修業したシェフが独立したというそのお店は、商店街に新たな若い客層を呼び込んでいます。
「100円商店街」ではランチセットで好評な人参のスープを提供。飲んだ子供は「めっちゃおいしい!」と笑顔がはじけます。
一方、商店街で170年以上店を営む老舗の漬物店「八百与」は、この日のために仕込みを重ねてきました。
「100円」という価格に抵抗はなかったかと聞くと、「それで人が来てくれて喜んでくれはって、うちのおいしいものが紹介できたらもうそれ最高やなと」と語ります。
■老舗の漬物店「常連さん増えました。若い方も増えました」
そしてこの「100円商店街」をきっかけに常連客が増えたといいます。
【漬物店「八百与」】「常連さん増えました。若い方も増えましたよね。『ここで食べて美味しかった。どれですか?』言うて、常に来てくれはるんですよね。それがやっぱり嬉しいです」
さらにこの「100円商店街」への思いを語ってくれました。
【漬物店「八百与」】「商店街って今ちょっと沈みつつある。でも若い方がお店開けてくれはったり。ちょっとでも振り向いて欲しい。魅力ないなと思われたくないし、頑張ってるよ!って言いたいし」
■苦境の商店街“まず知ってもらうこと”の大切さ
青果店のオーナーで100円商店街の実行委員長の寺田さんは、このイベントに込めた思いをこう語ります。
【大津100円商店街・寺田武彦実行委員長】「商店街がよくないのはもうここだけじゃなくて、全国的な話。近くに住んでる人もこの商店街があることすら知らない。そういう意味でもこういうイベントをやることによって、より喜んでもらえる」
【秦令欧奈アナウンサー】「大成功じゃないですか!」
【大津100円商店街・寺田武彦実行委員長】「いやいや、大成功言うたかてまだまだこれから続きますよ」
(関西テレビ「newsランナー」2026年9月11日放送)
