フルーツ王国・福島県でも、温暖化の影響で出荷時期が早まったり、果実の成長に影響が出たりしています。そこで、暖かい地域で育つ柑橘が福島市でも栽培できないか挑戦することになりました。今回は、ミカンの町として知られる福島・広野町を訪ね、熊本県出身の“柑橘名人”から栽培の知恵を学びました。
■広野町のミカン
福島県でミカンと言えば、浜通りの広野町が知られています。昭和60年、町が「暖かい町」をPRするため、町内の全戸にミカンの苗木を配布したことが栽培の始まりです。現在も家庭の庭先にミカンの木が残り、町が管理する「みかんの丘」などがあります。
一方で、広野町にはミカン農家が存在せず、収穫された多くのミカンは加工用に回るのが現状。生食用として販売される量はごくわずかです。
■広野の名人
2026年、広野町にはミカン栽培の専門家が地域おこし協力隊として赴任しました。熊本県出身の藤川さんは、ミカン・オレンジ・デコポンなどの栽培経験を持ち、「みかんの丘」の管理を担当。町民からの相談に応じて家庭のミカンの木を診断するなど、地域の栽培力向上に取り組んでいます。
藤川さんは「ミカンは単価が高く、広野町でも生業として成り立つ農家が生まれる可能性がある」と話します。
■福島市の畑へ
新潟県佐渡や茨城県でも生食用ミカンを作っていることを知り、フルーツ王国・福島市でも栽培ができないかと始めたこの企画。2026年3月にスダチやミカンなど9種類を植えました。
福島市の柑橘畑では、リンゴ栽培のスペシャリスト・阿部幸弘さんが協力しています。阿部さんは大正時代から続く「果樹園やまと」の3代目で、全国りんごコンクール金賞の受賞歴もあるリンゴ名人です。
今回、広野町の藤川さんが福島市の畑を見てくれることに。
畑の木を確認すると、木の成長には欠かせない枝の先端の成長点を摘み取る「摘心」が必要だと指摘しました。
阿部さんはリンゴ栽培の経験からすぐに理解し、作物は違えど果樹の“木づくり”には共通点が多いことが分かりました。
■カボスとスダチ
本来は植えて1年目は実をつけない方がいいのですが、試験的にカボスとスダチを実らせてみました。そろそろ食用になるか藤川さんに聞くと「十分実っています」と評価しました。
東北・福島市でも夏にしっかり実がなることが確認できたため、次の焦点は“冬越し”。9種類の柑橘が寒さに耐えられるか、今後の成長が注目されます。
