岐阜県郡上市の清流・長良川で、今が旬を迎えている天然「郡上鮎」。釣り人から直接買い取ることで、新鮮な鮎を手頃な価格で提供する、創業およそ100年の食事処を取材しました。
■長良川上流の良質な水で育った香り豊かな「郡上鮎」
岐阜県郡上市にある1928年創業の食事処「だるまや」。店主の河合正則さんと娘の美佳さん、その夫の竜志さん、家族で店を切り盛りしています。
店内の水槽には、新鮮な鮎が元気に泳いでいます。

竜志さん:
「長良川の上流で獲れた天然の鮎です。生きている鮎をその日に上げてお店で使う、刺身用の鮎はいけすの中で生かしてあります」
流れの早い長良川上流の良質な水で育った鮎は、身が締まり、香りも豊か。「郡上鮎」と呼ばれています。
釣り人:
「郡上鮎って言われる、グランプリを獲ったおいしい鮎が釣れています」

全国の河川で競う品評会で、日本一にも輝きました。そんな郡上鮎を求めて、全国から多くの釣り人が訪れます。
■自慢は釣り人から直接買い取った新鮮な鮎
「だるまや」では創業当時から、郡上エリアで獲れた天然鮎を釣り人から直接買い取っています。
正則さん:
「鮎の買取は歴史が長く、100年以上になります」
釣りの達人になると、1人で60匹以上を持ち込む人もいます。
釣り人:
「たくさん釣って家に持って帰っても、みんな飽きていて食べないので」
買い取った鮎は、生きたまま店の水槽へ。冷たい地下水の中で一晩泳がせることで、さらに身が締まり、臭みもほとんどなくなるといいます。
鮎は串に刺したら、焼き台へ。

竜志さん:
「今はいい時季なので脂が落ちて、その煙と火でじわっと焼けます。鮮度がよければ、焼けるのも早いです」
焼きすぎると身がパサパサになってしまうため、火加減には気を抜けません。
じっくり火にかけること、およそ20分。「天然郡上鮎塩焼き定食」(1600円)は、ご飯にみそ汁、小鉢などがついた人気メニュー。塩焼きは皮が香ばしく、身はふっくらしています。
さらに、鮮度抜群だからこそ味わえる「天然鮎のお造り」(1500円)も人気です。キラキラと輝く身は、ほどよく脂がのってプリプリです。

店がオープンすると、厨房は早くもフル稼働です。
客:
「天然の鮎はなかなか食べられないのでうれしいです」
別の客:
「天然は養殖と全然違います」
美佳さん:
「鮎の良さを知ってほしいので、手頃な価格でたくさんの人に食べてもらいたいです」
一般的な店では市場などを通して鮎を仕入れますが、「だるまや」は釣り人から直接買い取るため、中間コストを抑え、お値打ちに提供することができます。
天然鮎はテイクアウトすることもできます。
客:
「家の七輪で焼いてみようと思いました」
■能登の魚を食べて復興支援
「だるまや」の人気は、天然鮎だけではありません。
竜志さん:
「サザエ、カサゴ、アカガレイ、キジハタ、みんな北陸の魚です。能登の『したひら鮮魚店』さんから直接仕入れています」
「能登海鮮丼」(2000円)。この日は、赤ガレイや、カサゴなど北陸の旬の魚が並びました。

きっかけは、能登で耳にした「能登の魚を食べてもらうことが復興につながる」という言葉でした。その思いに共感し、自分の店でも週2回取り寄せることにしました。鮮魚店からの直送のため、海のない郡上でも鮮度抜群の魚を味わえます。
魚を通じて広がる“支援の輪”です。
客:
「支援につながるなら、ますます味わい深いです」
さらに、刺身で味わう「活さざえ」(950円)も。

美佳さん:
「人と人との絆、助け合いができることは良かった。私の祖父の代から買い取りをやっているのでずっと守りたい。この長良川の鮎の文化をみんなに伝えたい」
清流が育む郡上鮎と、人とのつながり。受け継がれてきた味と文化を、これからも守り続けます。

