マイページ
「やめとくれやす民泊」京都の民泊 住宅地での新規営業が事実上禁止へ 「セルフチェックイン」など100施設以上が条例違反か 初の営業停止処分も「氷山の一角」|FNNプライムオンライン

「やめとくれやす民泊」京都の民泊 住宅地での新規営業が事実上禁止へ 「セルフチェックイン」など100施設以上が条例違反か 初の営業停止処分も「氷山の一角」

Google ニュース プリファードソース

日本を代表する観光地・京都でいま、民泊が岐路に立っています。

京都市は、一部のエリアで民泊の新規営業を実質的に禁止する素案を発表しました。

なぜ、さらなる民泊の規制に乗り出したのでしょうか。

各地でトラブルが相次ぐ民泊。一体、背景には何があるのでしょうか。

京都の民泊の実態を徹底取材しました。

■ 「大きな転換点」京都市が動き出した理由

【京都市 松井孝治市長】「京都の観光都市としてのあり方ですね。非常に今、大きな転換点にあるんではないかと」

京都市は来年2月の議会での条例改正を念頭に、住宅地などでの民泊の新規開業を事実上禁止する素案を発表しました。

世界中から観光客が訪れる京都市では、住宅街の中にも多くの民泊が存在しています。

取材班が訪れた住宅街の一角には、多くの民泊や簡易宿所が立ち並ぶ中に「やめとくれやす民泊」という看板が掲げられていました。

地域住民の切実な声を、そのまま映し出しているかのような光景です。

■ 花街にも広がる苦情 たばこ、ライター、そして火事への恐怖

お茶屋さんなどが立ち並び、歴史的な街並みを残す花街でも、民泊に対する切実な声が聞かれました。

花街で働く人は、「たばこを吸う人が家の前で結構いて、嫌やなぁと思ってたら、すごい大量のタバコの吸い殻が、うちの家とその民泊との間に捨てられていて」と話します。

さらに別の日には、ライターとたばこが外に放置されていたといいます。

【花街で働く人】「ライターがほったらかしなんて怖いじゃないですか。誰か悪いことしはる人があるかもしれんし」

民泊の周辺に住む人も、地面に散乱するたばこの吸い殻を前に、「火事やね。うちらのこんなとこ(古い住宅密集地)、すぐ燃えてしまう」と訴えました。

古い住宅が密集する京都ならではの、深刻な懸念です。

■ 対面チェックインもほぼ形骸化

京都市では、こうした苦情に対応するため、宿泊客の滞在中10分以内で駆けつけられる場所にスタッフを配置することや、チェックイン手続きを対面で行うよう全国的にも厳しい条例を定めています。

しかし、現実は大きく異なります。

民泊の隣に住む人は、「緊急駆けつけ案件として電話して、『すぐに確認しに来てください』って連絡をしても、なかなか来てくれない」と明かします。

京都市内で複数の民泊を運営する宮本博昭さん(44)はことし、そうした民泊の実態を自ら調査しました。

宮本さんは「検索画面上で『セルフチェックインができる』という表記があって、このように入室方法が自分自身で対応できるというのは、条例違反の可能性が非常に高い」と指摘します。

確認できた数は、なんと100施設以上にのぼるということです。

■多くの民泊で条例違反が横行 民泊の利用客「説明してくれると助かる」

実際に街で外国人観光客に聞くと、「セルフチェックインだよ。アプリを使ってセルフチェックインするだけだった。誰にも会わなかった」、「自分でセルフチェックインしました」という声が次々と上がりました。

京都市が対面でのチェックインを求めるのは、騒音やゴミ出しなどの地域のルールを宿泊客に説明し、トラブルを未然に防ぐ狙いがあります。

しかし、イギリスからの観光客は「私たちが泊まったところでは、ルールの説明はなかったと思います。標識や地元の人たちの行動を見て、自分たちで理解したので、宿泊施設が説明してくれると助かります」と語りました。

■ 京都市が初の行政処分 「氷山の一角」と担当者

こうした現状を受けて、京都市の特別調査チームは7日、宿泊客と対面せずメッセージで鍵の場所を伝えるなどした5つの事業者に対し、5万円の過料処分を行ったと発表しました。

このうち4つの事業者は、施設から徒歩10分以内の場所に従業員を駐在させる義務にも違反していたとして、30日間の営業停止処分となりました。

民泊に対するこうした違反での行政処分は、京都市では初めてのことです。

京都市・宿泊施設適正化担当課長の細野正広さんは「(従業員の)駐在義務を果たせていないところがやはり多いなという印象を非常に強く持っているところでして、今回の行政処分、営業停止処分も氷山の一角ではないかと」と危機感を口にします。

京都市内で複数の民泊を運営する宮本さんも、「これは間違いなく京都市は民泊の規制に動いていくだろうなと思いましたし、こういった規制はもっと強くなっていくという認識を持っていた」と話します。

■ 民泊がもたらす“光” 京町家保存の切り札にも

さまざまな問題が浮き彫りになる一方で、民泊が京都にもたらす別の側面も見えてきました。

ニシザワステイの西澤徹生社長は、祖母が住んでいた築およそ80年の京町家を2000万円かけて改修し、10年前から一棟貸しの宿泊施設を営んでいます。

祖母が亡くなってから5年間ほど空き家だったという京町家は、改修前、かつての坪庭はコンクリートで覆われ、壁はトタン、そこに洗濯機が置かれたままになっていました。

■京町家を改修した民泊は1つの解決策になるか

今では苔が生え、植物が育つ美しい庭へと生まれ変わりました。

【ニシザワステイ 西澤徹生社長】「もしあの日(民泊を)やっていなかったら、今でもここに冷蔵庫と洗濯機があったまま、これどうするんやろうっていう状態が、今こうやって美しい状態になって、ここに泊まる方が喜んで帰ってくださる場所に変わっているので、おばあちゃんも喜んでいるんじゃないかなと」

京都市では、歴史ある街並みを守るため、京町家をどう残していくかが長年の課題となっています。

そんな中、京町家を改修した民泊は1つの解決策になりつつあるのです。

民泊がもたらす光と影。観光都市・京都が、難しい問いに直面しています。

(関西テレビ「newsランナー」2026年9月8日放送)

関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。

関西テレビの他の記事
明治時代の時計台「辰鼓楼」年1度の一般公開 初代の時計の部品と復元模型も展示
明治時代の時計台「辰鼓楼」年1度の一般公開 初代の時計の部品と復元模型も展示
都道府県
大阪・兵庫・和歌山に「線状降水帯半日前予測」 9日明け方~昼前に線状降水帯が発生して災害の危険度が急激に高まる可能性
大阪・兵庫・和歌山に「線状降水帯半日前予測」 9日明け方~昼前に線状降水帯が発生して災害の危険度が急激に高まる可能性
都道府県
【解説】名古屋で1時間におよそ100ミリ「猛烈な雨」道路冠水 「都市部の排水能力は1時間に50ミリ程度が限界」と気象予報士 水害が起きていない地域も「同じような降り方するおそれ」指摘し備え呼びかけ
【解説】名古屋で1時間におよそ100ミリ「猛烈な雨」道路冠水 「都市部の排水能力は1時間に50ミリ程度が限界」と気象予報士 水害が起きていない地域も「同じような降り方するおそれ」指摘し備え呼びかけ
社会
「何か言いにくいことが出てきたりすることを懸念」 兵庫県前知事時代の“用先債”不適切処理の検証部会が初会合 ヒアリング対象者を公表しない方針 斎藤知事は「井戸前知事らにヒアリングすべき」と公言
「何か言いにくいことが出てきたりすることを懸念」 兵庫県前知事時代の“用先債”不適切処理の検証部会が初会合 ヒアリング対象者を公表しない方針 斎藤知事は「井戸前知事らにヒアリングすべき」と公言
社会
一覧ページへ
×