昔はいたけど今ではほとんど見られず…パンチパーマをあてる人たち
2020年8月6日の岐阜新聞に【パンチパーマ再び脚光~関から発信~】という記事が掲載された。パンチパーマが、時代を越えて令和に再び脚光を。
ブーム…それは本当なのか!?
1970年代に日本で生まれたパンチパーマは、80年代にかけて流行。当時はヘアカットショーでモデルがパンチパーマにするなど、オシャレなスタイルだった。
しかし平成に入ると「怖い」「いかつい」といったマイナスのイメージから下火に。今ではほとんど見ることがなくなった。
まずは、記事にあった岐阜・関市で、パンチパーマが本当に流行っているのか…
男性A:
パンチパーマは、いないんじゃないかな
女性:
昔はようおったけど、あんまり見かけないね
やはり反応はイマイチ。
しかし、聞き込みを続けると…
男性B:
知っています。リバイバルというか、もう1回パンチパーマの良さを伝えたいみたいなことで、近くの理容室でやっています
パンチパーマの良さを伝えようとしている理容室があるとのこと。
これは、行ってみるしかない。
床屋のなり手が少ないので…パンチパーマを通して理容師の高い技術の伝承を
岐阜・関市にある理髪店「ボノ・ヘアー」。
パンチパーマを普及させようとしているのは理容師の久後靖幸さん(44)だった。
久後さん:
流行らせようというか…似合う人に提供する。若い人で探している人もいるので
過去には技術を競う大会で優勝したこともある、華やかな経歴の持ち主だ。
しかし、なぜ今パンチパーマなのだろうか。
久後さん:
カリスマブームの影響で美容師が増えて、床屋さんのなり手が少ないので。やれる人、やれる所が少なくなった今、技術の伝承も込めてパンチを普及していければ
カリスマ美容師ブームの影響で、憧れとなった美容師の数は増え続けている一方、理容師は年を追うごとに減少している。
短く切った髪に、細いヘアアイロンで小さくカールを並べるようにかけるパンチパーマ。
久後さんは、細かく髪を巻いていく、この理容師ならではの高い技術が途絶えてしまう事を危惧し、普及委員会を立ち上げた。
広めたいのは“ニューパンチ”…サイドは刈り上げ 上部を巻いていく令和スタイル
しかし、お客さんの反応は…
常連客の男性A:
ちょっと古いイメージ
常連客の男性B:
昔はパンチパーマっていうと、見た感じもいろいろ言われた
やはり、渋めの反応…。そこへ、少々いかつい男性が来店。
少々いかつい男性客:
今日はパンチで、ゴリゴリで
パンチパーマをオーダー。男性は、年齢と共に髪の毛が少なくなるため、毛があるうちにもう1回パンチをかけてみようと思ったと言う。
かつて10代の頃は、パンチパーマをあてていたこの男性。 同級生の久後さんの誘いもあり、今回25年ぶりにパンチにすることを決めたという。
まずは、サイドをバリカンで大胆に刈り上げていく。
パンチパーマというと、髪全体にアイロンをかける“フルパンチ”だ。
しかし、久後さんが新たに普及させようとしているのは、側面は刈り上げて上部をバックに巻いていく、その名も“ニューパンチ”。
パンチは熱でかけるから1発勝負…“根本ギリギリから巻く”理容師の腕の見せ所
サイドを刈り込んだら、いよいよ160度のアイロンを使って、前髪は8ミリ、それ以外は6ミリに巻いていく。
久後さん:
根元から巻こうと思うと、どうしてもギリギリなので、緊張感はありますね。普通のパーマは立て直せますけど、パンチは熱でかけちゃうと直しようがないので、1発勝負です
高温のアイロンが地肌に触れないように慎重かつ丁寧に。やはり高い技術が必要。理容師の腕の見せ所だ。そして…
男性客:
懐かしいですね。昔は横も後ろもかけていましたので。今風ですね
出来上がりにご満悦の様子。
久後さんと一緒に普及委員会を立ち上げた常連は、「汗でペタついても、手ぐしで元に戻せ、変な癖がつかないのもニューパンチのメリット」と話す。
通常のパーマがかかりにくい人にも、ヘアアイロンで細かいところまでしっかり形をつけることができ、かつ落ちにくいパンチはおすすめだ。
ちなみに、久森さんの理容店では、10月に入ってリポートした記者も含め6人がパンチにした(10月13日時点)。
岐阜県関市発の“ニューパンチ”のムーブメント。今後も広がっていくかもしれない。
(東海テレビ)