多様性って何なんだろう...

映画プロデューサー チュック・ベッシャー氏:
こう見えても、わたしは日本人なんですけど、国籍も日本、生まれも育ちも日本だし。
ただ、小さいころ、日本で育っていると、『日本人ではない』と言われて育った記憶が強い。
それが、多様性って何なんだろう、日本における、多様じゃない日本は何なんだろうと考えるきっかけになった。

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チュック・ベッシャーさんは、アイヌの家庭に生まれ、口承文芸などを通じ、アイヌ文化を伝える活動をしている萱野りえさんの半生を描いた短編ドキュメンタリー映画「Future is MINE -アイヌ、私の声-」のプロデューサー。

「Future is MINE -アイヌ、私の声-」

目まぐるしい日々の中、限りある時間に焦りを感じたりえさんが、独自の文化を築くアメリカの先住民族「セミノール族」の元を訪ね、自分の進むべき道を模索するという物語。

アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2020」のノンフィクション部門にノミネートされるなど、注目を集める作品だ。

「日本における多様性の大切さ」

映画プロデューサー ベッシャー氏:
アイヌの女性のエンパワーメントの旅だったんですけど、そこではさらに、日本の多様性といいますか、日本の中に存在する多様性についても考えてほしいと思って作りました。

今回、「日本における多様性の大切さ」を問いかけた背景には、自身のルーツも重なっているという。

ベッシャーさんは兵庫・神戸市生まれ。
ロシアにルーツを持つ両親は、第2次世界大戦後、難民として日本にたどり着いた。

ベッシャー氏:
日本ってなんだろうとか、僕が日本人じゃないという日本人ってどういう人たちなんだろう。日本は実はとても多様です。その日本のうちなる多様性を認めることは1つ、とても大切なこと。

自身も外資系企業で幹部を務めるなど、ビジネスの最前線でも活躍してきたベッシャーさん。
この多様性は今、働く人にとって非常に重要だという。

競争を創造的に乗り越える原動力

ベッシャー氏:
新しい、いろいろな意見がぶつかり合って出るアイデアは、とても活気のあるものだと思うし、ビジネスは競争が激しいが、(多様性は)競争を創造的に乗り越える原動力にもなる。

さらに、多様性を認めることは組織の“強さ”と“成長”にもつながると指摘する。

ベッシャー氏:
社員のやる気。自分は自分として認められている。LGBTQであっても、女性であっても、外国籍であっても、会社の中で価値ある存在だと思われて、しかも採用されていて、大切な仕事を任されている。(多様性を認めることで)会社全体が活気づいて、いい方向に向かうのはとても自然な流れだと思います。

ダイバーシティの遅れは人材流出を招く

三田友梨佳キャスター:
早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに聞きます。
企業経営でもダイバーシティの推進が求められていますよね?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
多様性、ダイバーシティは企業にとって単なるコンプライアンスや道徳といったコスト負担の問題ではなくて、イノベーションを起こして競争力を高める戦略の問題なんです。

企業の人材を同質化するより、様々なマイノリティの個性、意見を活かしていくことでイノベーションが生まれやすい環境が作られます。

また、イノベーションが、今までできなかった女性の社会進出や障害者雇用のようなダイバーシティを生んでいく。イノベーションとダイバーシティのポジティブなスバイラルが経済も社会も良くしていくんだと思います。

三田キャスター:
一方で、企業にとってダイバーシティの推進に遅れると、どんなデメリットが生じるのでしょうか?

長内さん:
日本がダイバーシティの推進に遅れると、若い人ほどダイバーシティの感度は高いので、少子化による人材不足が懸念される中、優秀な人材からどんどん海外に出て行ってしまう、人材流出にも繋がります。

企業に対して求められているのは、なんとなく景気が良いときに格好つけるためのダイバーシティではダメなんです。

ダイバーシティを始めたら持続する覚悟が必要で、会社のその姿勢に共感してLGBTQや障害者の人達がそこに期待して働き始める。それが景気悪化でダイバーシティを止めてしまうと、大きな失望、その人の人生を台無しにしてしまうかもしれない。
こういったことも考えて、持続が何よりも大切です。

三田キャスター:
持続的な多様性がない会社には優秀な人材は集まらないと言えるのかもしれませんね。
お互いの価値観を認め合いながら、それぞれの個性を生かす環境作りがビジネスにおいても大きなカギとなりそうです。

(「Live News α」11月23日放送分)