静岡県牧之原市の認定こども園で、送迎バスに河本千奈ちゃん(当時3)が置き去りにされ死亡した事件から9月5日でちょうど4年となった。この日を前に4日、死亡した千奈ちゃんの父親が「風化させたくない」と記者会見を開いた。「変わらないのは千奈への申し訳なさ」と苦しい胸の内を語り、「助けてあげられなくてごめんなさい」と毎日声をかけていることを明らかにした。
送迎バスで置き去り 残された服と空の水筒
2022年9月5日、静岡県牧之原市にある認定こども園「川崎幼稚園」で、河本千奈ちゃん(当時3)が送迎バスの中に長時間置き去りにされ、重度の熱中症により死亡した。送迎バスには、千奈ちゃんが脱いだ服と空っぽの水筒が残されていた。
この事件をめぐっては、当日バスを運転していた当時の園長が「園児の安全を確保する基本的な注意義務を怠った」として、禁錮1年4カ月の実刑判決が下された。また、千奈ちゃんがいないことに気付きながらも保護者への連絡を怠った元クラス担任には禁錮1年、執行猶予3年の有罪判決が確定した。
「毎日考えている」
最愛の娘を失ってから4年。千奈ちゃんの年齢よりも長い月日が経ち、当時生まれたばかりだった千奈ちゃんの妹も、千奈ちゃんの年齢を超えた。千奈ちゃんの父親は月日が経つ中で、「風化させたくない」という思いで、報道機関のカメラの前で語ることを決断したという。
父親は毎日千奈ちゃんのことを考えているという。車に乗り込む時に車内の暑さを感じると、「4歳にも満たない千奈はこの中で放置されたんだな」と思い出すという。「すごく苦しい状況で3歳のありとあらゆる知恵を振り絞って、服を脱いだり麦茶を飲み干したり一生懸命やったと思うと胸に突き刺さるものがある」と語った。「病院で医療用ベッドに横たわる光景は今でも鮮明に覚えている」という。
「娘の命を奪った園が憎い」
毎日考えているのは千奈ちゃんのことだけではない。「毎日加害者たちのことも考えている」と話した。そして「娘の命を奪った園が憎い。つぶれてほしい。なくなってしまえと思う」と本音を吐露した。
両親によると、事件当時は牧之原市に念願のマイホームを建てたばかりだったという。その家には「千奈との日々、笑顔、多くの希望が詰まっていた」と話した。ただ深い悲しみの中で、一家は2024年、家を手放して牧之原市を離れることを決めた。現在は別の場所で生活を送っている。
助けられなかった申し訳なさと後悔
4年経っても、変わらないのは「千奈への申し訳なさ」だという。「助けてやれなかったこと、私たちがあの園を選んでしまったことを今でも後悔している」と語った。毎日遺影に手を合わせる時は「助けてあげられなくてごめんないさい」という言葉をかけるという。
「ただ生きていてほしかった」
事件を受けて、幼稚園などの送迎バスに安全装置を設置することが義務化された。幼い命が失われることは2度とあってはならず、この事件が大きな教訓となった。ただ、千奈ちゃんの父親は遺族としての立場から「千奈が生まれてきたのは社会の教訓になるためではないので。ただ生きていてほしかった」と正直な気持ちを語った。
(テレビ静岡)

