福岡・北九州市出身のプロボクシング日本チャンピオンが、初の防衛戦を地元で戦った。「チャンピオンになるより難しい」とも言われている初防衛戦。その姿を追った。
小学2年から始めたボクシング
北九州市のボクシングジムでサンドバック相手に汗を流す、岡本恭佑さん(22)。日本フェザー(57.15kg)のチャンピオンだ。
日本チャンピオンになって4か月-。チャンピオンなら誰しも通る試練。「チャンピオンになるより難しい」とも言われている初防衛戦が、待ち受けていた。
岡本さんがボクシングを始めたのは、今から15年前、小学2年生からだった。

「始めたきっかけ?父に連れていかれて、無理やり連れていかれて。最初は好きじゃなかった…」と岡本さんは振り返る。

ただボクシングの才能は天性のものがあった。ジュニアの全国大会では優勝3回。高校3年生でプロテストを受け、合格。翌年、見事に新人王に輝いた。

そして2026年3月。ついに日本チャンピオンの座を手に入れたのだ。
「日本チャンピオンになったとき、嬉しかったというよりもホッとした。とにかく勝たないと始まらなかったので」(岡本恭佑さん)。

その岡本さんを近くで見ていたのがジムの会長、桑原秀彦さんだ。
「入ってきたときの印象?小さかった。学年でも小さい方じゃなかったかな。体が動かせる吸収のよさはありました。日本チャンピオンになったとき、それは嬉しかった」と話す。

二人三脚で勝ち取ったチャンピオン。このジムでは初めてのことだった。それだけに今回の防衛戦は2人にとって未知の世界だ。

「もちろん、勝つつもりで練習しています。勝ってほしい」(桑原秀彦会長)。
北九州らしく“ド派手”な衣装
この日、練習を終えた岡本さんが足を運んだのは北九州市内の居酒屋『勝屋』(北九州市小倉南区)。日本チャンピオンになる前まで、岡本さんがアルバイトをしていた店だ。
「料理を作る担当で多分、減量のときは辛かったんじゃないかな。ストイックで真面目」と話す店の川本勝さん。「涎が出ていました。作りながら」と岡本さんも笑う。ホッとする束の間のひと時だ。

初防衛戦を3日後に控えた8月27日。岡本さんが、試合で着る衣装を受け取りに現われた衣装店は、北九州市出身の岡本さんにとっても馴染み深い『みやび』。

今回、注文したのは赤と金のド派手な“北九州らしい”衣装だ。
「やっぱりチャンピオンなので、チャンピオンカラーの赤ということで赤色と金色を」(岡本恭佑さん)。

『みやび』の池田雅さんは「彼が高校生くらいのときに言っていた夢だったんですよ。20歳くらいで日本チャンピオンになって…。それがちゃんと目標をクリアしてくれるから」と嬉しそうに話す。

「初防衛戦って結構、難しいと言われているので『チャンピオンになるより難しい』と言われている。もう1回、チャンピオンベルトを『獲りに行く』いう気持ちで、ベルトを『守る』という意識は全くない」(岡本恭佑さん)。

「『勝ちにいく』で、チャンピオンらしい試合を見せたい」と岡本さんは静かに闘志を燃やす。
いよいよゴング 相手は日本ランキング1位
そして8月30日、いよいよ訪れた初防衛戦。会場は『西日本総合展示場』(北九州市小倉北区)だ。
「もう、とうとうこの日が来たので、しっかり楽しんで、あとはもう勝つだけ」と岡本さん。

続々と会場に訪れる観客に交じって具志堅用高さんや鬼塚勝也さんなど元世界チャンピオンの姿も見られた。岡本さんへの注目度が伺える。

岡本さんに試合直前の心境を尋ねると「“無”ですね。意外と僕は、やるべきことをやるだけなので、今までやってきたものを試合で出すだけなので、そこに感情もなにもないし、それで負けるなら俺の練習が足りなかっただけだと思うので」と冷静だった。

そして“初防衛戦”のゴングが鳴った。

初防衛戦の相手は、日本ランキング1位の殿本恭平選手。31歳のベテラン選手だ。

序盤は殿本選手がベテランらしく優勢に試合を運ぶ。連打を仕掛けてくる殿本選手に翻弄される場面も見られた。岡本さんが得意とする左ジャブも手数が出ない。あっという間に3ラウンドが終わった。
試合が動いたのは4ラウンドだった。挑戦者の猛攻を受けながらも繰り出した左アッパーが顔面にヒット。
たまらず殿本選手がダウンした。
そしてそのままTKO勝ち。見事に初の防衛に成功した。
見据える夢はやっぱり世界チャンピオン
「全然、全然ダメでした。気合が入っていたと思うし、いつもと違う雰囲気だったり、気負っていたんじゃないなって、今、思えば。でもとにかく勝ったことがよかった」と試合を振り返った岡本さん。
今回の防衛戦の勝利は、見据える夢のほんの通過点に過ぎないと話す。

「世界チャンピオンっていう夢を叶えるためにも次もしっかり勝とうと思っています」
(テレビ西日本)

