2日、和歌山県で21年ぶりに設置された「渇水対策本部」。
「今後、県民生活に支障が生じるリスクが高まる」
県民に対し節水を呼び掛ける事態となった。
県内の8月の雨量は、和歌山で平年の1割しかない10.5ミリ。川辺や南紀白浜では過去最少となり、記録的な雨不足となっている。
記者リポート:橋の下、富田川という川が流れていますが、全然水がないですね干上がっています。
県内の上富田町や白浜町を流れる「富田川」では川が干上がり川底の石があらわになる状態に…。
歴史的ともいえる「渇水」。その影響が、名産・ミカンにまで及んでいる。
■ほとんどが「すだち」サイズ 「もう破棄するしかない」
ミカン農家 川口拓洋さん:全然大きくなってない。
由良町の農園では、秋の収穫に向けミカンを育てている真っ只中だが…。
ミカン農家 川口拓洋さん:これで3.5センチ。本来なら今の時期で5センチぐらいはほしいけど小さい。ここまで肥大が鈍い年は初めて。
いまだ、ほとんどが「すだち」サイズ。
雨不足に加え、猛暑による陽の当たりすぎで色が変わってしまうミカンもあった。
ミカン農家 川口拓洋さん:これはもう破棄するしかないです…。
山の斜面で作られることが多いミカン。
この農園には近くに水を引く川はなく、雨が降らないと、水を撒くのは大変な作業となる。
旬を迎える11月ごろにミカンが育つのか、不安な状況に…。
ミカン農家 川口拓洋さん:今の時点で小さいのは、これから肥大にも限界があるので、例年通りの大きさになるかは微妙。

■「かなり小玉傾向」 出荷基準を満たすミカンに育っていない
この状況を受け、1日、JAわかやま紀州柑橘部会は、生産者を集めた緊急会議を開いた。
JA担当者:かなり小玉傾向であるというところで。
来週には収穫期を迎える品種もあるということだが…。
生産者:非常に小さい玉が多い。
生産者:『3S』もいかないんちゃうか。
「3S」とは、直径5センチ未満の小さなミカンのこと。JAが出荷対象としているのは、これより大きな「2S」以上で、「3S」は規格外となる。
JA担当者:手上げてもらっていいですか?『3S』多いっていう人。
半数近くが手を挙げた。
JA担当者:『2S』が多い人。
この問いかけには手を挙げる人はいなかった。
収穫直前にもかかわらず、出荷基準を満たすミカンが十分に育っていない異常事態。

■問題は長期化か 畑の4割の木が弱り雨が降っても元通りにはならない
ミカン農家 山中孝次さん:50年以上農業しているけど、ここまで雨が少ないのは初めてなので、どれくらい影響が出るのかわからない。
悲痛の声を上げたのは、日高川町でミカンを栽培する山中さんだ。
取材班は、山中さんの畑を案内してもらうことに。そこで見えてきたのは、この問題が「長期化」する恐れだ。
ミカン農家 山中孝次さん:葉が巻いている。これも水不足で。葉を巻いて自分で木を守ってる状態です。
健康な木は、葉が開いているが、水分が不足すると、葉から水が蒸発しないよう丸まってしまうというのだ。
ミカン農家 山中孝次さん:この木はもう回復無理みたい。
山中さんの畑では全体の4割ほどの木がこうした状況となっていて、今後、雨が降ったとしても、すぐ元通りになるわけではないという。
ミカン農家 山中孝次さん:ことしのミカン取れても、来年がかなりダメージが大きい。ここまで木が弱ったのは、今までで初めて。
日本を代表するミカン産地を襲った雨不足。
ことし、私たちの食卓に届くミカンは、どんな姿になるのだろうか。

■和歌山・由良町のミカン農園では摘果作業などで対策
和歌山県由良町のミカン農園から田中友梨奈アナウンサーが伝える。
田中友梨奈アナウンサー:
この農園では早生(わせ)ミカンが栽培されています。
今年なっているみかんは、小さなサイズのものが多いんですが、その中でも色が変色してしまっているものでしたり、割けてしまっているものもあります。
さらに心配なのはこの先の話です。
和歌山県のみかんの栽培スケジュールでは、9月から収穫が始まる極早生(ごくわせ)、そして早生と続きます。
このまま雨不足が続くと、冬に収穫する予定のみかんにも影響が出るかもしれないということです。

吉原功兼キャスター:影響が長引くと困りますが、何か農家さんは対策してるんですか。
田中友梨奈アナウンサー:
ミカンの木へのダメージを軽くするためにやむを得ずですが、ミカンの実を減らす摘果作業が行われています。
また、規格外の大きさのものに関しては、ジュースに加工するということもあるそうなんですが、ことしのミカンはジュースにもできないかもしれないということです。
その理由は、あまりにもミカンの実の大きさが小さいと、ジュースを作る機械をミカン自体がすり抜けてしまうそうです。
ですからこういった対策を取ったとしても、雨が降らないことにはということで、明日からの雨予報に少し期待を寄せていました。
ですが、味に関しては農家の方も「ことしは実が小さい分、甘さが濃縮されていて、とてもおいしい」ということです。
私も今月から収穫される極早生を試食させてもらったんですが、果汁がとにかくジューシーで甘くて、つぶつぶしたみかんの果肉を包んでいる半透明の皮がとても薄いので、口に残らず食べやすかったです。
本当に味にも問題なくおいしいので、農家の方も「ことし限りでもいいので、何とか規格よりも小さなサイズのものも販売できないか」と話していました。
(関西テレビ「newsランナー」2026年9月2日放送)


