北アルプス・室堂で半世紀以上にわたって人々を迎えてきた「ホテル立山」。
「日本で最も標高の高いリゾートホテル」は31日に営業最終日を迎え、その歴史に幕を下ろしました。
最後の宿泊客を迎えた30日、ホテルには別れを惜しむ人たちの姿がありました。
30日に最後の宿泊客を迎えた「ホテル立山」。
最後の宿泊客:
「また(別のホテルを)運営されるかもしれないというお話もあるみたいですけど、いつかもわからないので、最後に来たいなとやって参りました」
「“推しのラスト”に来た感じ。本当に寂しいです」
立山黒部アルペンルートの拠点、標高2450メートルの室堂ターミナルと一体につくられた「ホテル立山」。地上6階、客室は81室です。
合理的な構造や機能性を重視した「モダニズム建築」も特徴で、30日はその魅力を専門家が紹介する最後のイベントも開かれました。
建築史家・倉方俊輔教授(大阪公立大学):
「標高2450メートルにふさわしいホテルをつくる、それが山っぽさもあるし、合理精神もあるし、同時に人をくつろがせる雰囲気のあるホテル」
建設が始まったのは1968年。当時、山岳地帯にホテルを建てるのは前例のない挑戦で、工事は難航しました。
4年の歳月を経て完成し、「日本で最も標高の高いリゾートホテル」として、星空観察会や夕方の周辺散策などホテルならではのアクティビティも実施。31日まで169万人あまりの宿泊客を迎えました。
しかし老朽化などもあり、これまで運営してきた立山黒部貫光は、国内外でホテルを展開する星野リゾートにホテルを売却。
ターミナル側にあるレストランと売店の営業は今後も続きますが、ホテル事業の今後の方針は明らかになっていません。
最終日を目掛けて、30日はホテルのリピーターの姿も…。
宿泊客(大阪から最終日に宿泊):
「(自分たちは)本格ハイカーではないので。山小屋になるとハードルが一気にあがってしまうんですけど、ちょっとずつ楽しませてもらいながら、大観峰で日の出を見せてもらったり、夜の星空を見せてもらったり。そういった楽しみ方もさせてもらった。ホテルにいながら。本当にありがたかった」
宿泊客(東京から):
Q何度か泊まった?
「もう5~6回は通っています。他にはこういうホテルがない。日本で標高2450メートルでくつろげるっていうところはないと思うのでホテルとしても快適。周りの光景はここにしかないもの。他ではない、という点で非常に魅力に感じていた」
30日は従業員への取材会も開かれました。
最終日の思いを聞くと…。
赤坂郁人支配人:
「悲しくなるね…こうなると悲しくなりますね…」
思わず言葉に詰まる場面も。
赤坂郁人支配人:
「宿泊サービス終了はやはり悲しい気持ちになります。一方で、54年間営業を続けてきたということは大変意義深いことと思います」
食堂部・板倉学さん:
「まず景色、動物だったり、名水だったり、誇るところが沢山ありすぎて…。ここで働いているのは誇りで、働き甲斐が本当にありました」
半世紀以上、厳しい自然環境の中で多くの人たちをあたたかくもてなしてきたホテルは、31日にその歴史に幕を下ろしました。
