広島・東広島市で開発・製造されている1人乗りの電気自動車(EV)。一般ユーザーへの納車が進む中、今度は企業での活用に向けた動きが広がっている。新たに業務用モビリティーとして導入を決めた銀行を訪ねた。
「車の中から車が!」行員も驚き
8月、東広島市の中国銀行西条ライフプランセンターに1台の車がやってきた。
車の中から出てきたのは、なんと「車」。拍手で迎えられ、スマートフォンで撮影する行員たちからは「すごい」「すごくかわいい」と驚きの声が上がった。
そのコンパクトな車は、東広島市の「KGモーターズ」が開発・製造した超小型EV「mibot(ミボット)」。2022年に設立されたスタートアップ企業で、車づくりの経験がなかったYouTuberたちが、一から新たなモビリティーをつくり上げた。
mibotは1人乗りで、最高時速60キロ。原付ミニカー規格に分類されるため車検は不要で、1回の充電で100キロを走ることができる。2025年12月から一般ユーザーへの納車が始まり、少しずつ街なかでも見かけるようになった。
車内からmibotが出てくる様子を見た行員は、「びっくりしました。車の中から車が出てきたので。そんなことは今まで見たことがない」と笑顔を見せた。
顧客訪問など1人での短距離移動に
中国銀行西条ライフプランセンターでは、8月から業務用のモビリティーとしてmibotを導入。行員が顧客先へ訪問するなど、1人での短距離移動に活用する。これまでは、こうした移動にも軽自動車を使うことが多かったという。
中国銀行西条ライフプランセンターの谷隈正嗣センター長は、「率直な印象は非常にかわいい。小回りがきくので、2台目の車としてもいいのかなと個人的に思います」と話す。
企業にとっては、これまで軽自動車などで担ってきた業務移動を見直す選択肢にもなりそうだ。
広島の企業や自治体で導入広がる
KGモーターズは2026年春、岡山県内の中国銀行の複数の拠点で実証実験を重ね、業務利用の可能性を探ってきた。
KGモーターズの楠一成CEOは、「1人乗り、短距離、大きな荷物がそこまでない業務において非常に注目していただいております。実際に見て『かわいい』という声とか、ものすごく好意的に捉えてもらっているのは本当にありがたい」と話す。
KGモーターズの横山文洋さんも「二輪車と車の中間にあたるところをmibotで置き換えていければ、コストや環境負荷も減らしていけるんじゃないかなと思います」と話し、中国銀行での導入を機に、全国の銀行へ広げていきたい考えだ。
KGモーターズは法人や自治体での活用に力を入れていて、2026年6月からは東広島市役所の公用車として訪問業務などにmibotが使われている。
「1人で短距離移動」という用途に特化した超小型EV。コストや環境負荷の低減につながる新たな移動手段として活躍の場を広げている。
(テレビ新広島)

