仙台市青葉区の常盤木学園高校に通っていた生徒が、同級生から無視されるなど疎外感を感じる行為を繰り返され、「いじめ重大事態」に認定されていたことが分かりました。被害生徒の保護者などは、学校側が非公表としている調査報告書の公表を求めています。
元生徒の母親
「娘としてもちゃんと今まで起きたことを『加害者側も学校もきちんと認めて反省してほしい』と言っていたので、私も同じ気持ちでいるので、(学校に)そこまで(いじめを)隠すようなことはしてほしくない」
常盤木学園高校で、いじめ被害に遭った元生徒の両親です。
現在18歳の元生徒は学校に通えなくなり、自主退学しました。
第三者委員会が認定した事案の概要です。被害生徒は、1年生だった2023年6月ごろ、学校側が決めたグループの4人から、無視などをされるようになりました。
その後も疎外感を感じる行為などが重なったため、元生徒と両親は10月、三者面談で担任に相談。しかし、担任は、性格の違いのトラブルで「いじめではない」として、グループを変えるなどの具体的な対応を取らなかったほか、加害生徒側を擁護、元生徒を責める言動もあったということです。
元生徒の父親
「今いじめが行われている現状を解決する提案というこちらの要望に関して、真摯に受け止めている印象は全くありませんでした」
その後、元生徒は登校が困難になり、2年生の8月、医療機関で「PTSD=心的外傷後ストレス障害」と診断されました。
元生徒の母親
Q.その時の様子
「めまい、吐き気、食事ができない、眠れなくなる。眠ったとしても先生の悪夢を見てしまい(家の)外にも出られない」
10月になってようやく、学校側は「いじめ防止対策推進法」に基づき、宮城県に事態を報告。元生徒は3年生に進級する直前の3月、自主退学しました。
第三者委員会が設置されたのはその翌月で、両親は学校の対応の遅さに不信感を募らせます。
元生徒の母親
「いじめ重大事態になったのも弁護士の先生が介入してやっと…」
また、自主退学後にまとめられた調査報告書は、プライバシーへの配慮などから、「非公表」の対応が取られました。元生徒や両親は「公表」を求めています。
元生徒の父親
「教員が関わって今回娘のいじめ重大事態につながっているというところを学校側が公に認める機会を“公表”という形で出してもらうことが、私の一番の強い思いはあります」
調査報告書について文部科学省のガイドラインでは、「内容の重大性や公表した場合の影響などを総合的に勘案して適切に判断し、特段の支障がなければ公表することが望ましい」としています。
両親は代理人を通して学校に対し、2度、調査報告書の公表を求めましたが…今年4月、そして5月と、それぞれ“非公表”の方針は変わりませんでした。
常盤木学園高校側は、非公表の理由について、「詳細な事実関係の公表が関係者のプライバシーを著しく侵害し、名誉毀損やインターネット上での情報拡散による、重篤な二次被害を生じさせる恐れがあると考え、なお慎重に検討を重ねた結果、公表は見送るとの結論」と説明しています。
いじめ問題に詳しい千葉大学の藤川大祐教授は、報告書の公表について、二次被害を防ぐために、「一概に公表が望ましいとは言えない」とした上で、学校側が説明責任を果たす重要性を指摘します。
千葉大学大学院教育学研究院 藤川大祐教授
「基本的に(調査報告書の)公表は今後は事態を改善しますよということを示す手段。事案の詳細については概要に変えて、しかし、再発防止策などについては詳しく載せるというそういうような公表版を作って公表するというのが一番ありうること」
また藤川教授は、「報告書の公表がゴールではない」とした上で、外部に向けて学校側の対応を「見える化」することの大切さを強調します。
千葉大学大学院教育学研究員 藤川大祐教授
「おそらく被害者の保護者の方は、学校の対応について疑問があるからこそ公表を望んでいると思う。(調査報告書を)公表するかどうかが唯一の論点ではなくて、いじめ問題が起きた時に学校がどういう対応をとれたのだろうか、今後はどう改善するのかといったことを学校は自問自答して、きちんと答えを出し、説明をしていく必要があるだろうと思います」
私立高校で起きたいじめ重大事態。宮城県では、私立学校に対して「調査報告書」の公表を指導する権限はありません。今年6月、両親から相談を受けた仙台市議が、「学校に対し適切な対応講じるよう」県に要望書を提出。その後県は、学校に対し、ガイドラインに沿った対応をするよう、伝えたということです。
元生徒の両親は、再発防止策を盛り込んだ報告書の公表や行政の積極的な関与を望んでいます。
元生徒の父親
「決定権が全部私立学校にある。だから県も私学の担当も打つ手がない。そこをどこがただすのか議論する場を設けてもらわないと何も変わらない」
藤川教授は、公立校であっても不適切な対応がとられるケースが目立つので、私立学校だけの問題ではないとしています。そのうえで、学校側が法やガイドラインに沿った対応をとらない場合に、「いじめ問題に限定して知事部局など行政が責任を持ち、いじめの対応について指導するなどの仕組み作りの検討など、法改正を含めた議論が必要」だとしています。
